ITアウトソーシング需要堅調も大口顧客の業績不振で利益率悪化か

現地コード 銘柄名
00354

中軟国際

(チャイナソフト・インターナショナル)

株価 情報種類

8.94HKD
(1/11現在)

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 中国の総合ソフトウエア・情報サービス会社、中軟国際の2021年12月通期決算について、BOCIは経営陣が示した前年比30%の増益見通しを達成できるか懸念を強めている。最大の顧客である華為技術(ファーウェイ)の売上高は2021年通期に前年比29%減。ネット業界のその他顧客も、政府当局による規制強化に直面している。ITアウトソーシングは一般的に、景気減速期に高まる傾向にあり、売上見通しは堅調だが、懸念されるのは収益性の悪化。BOCIは2021-2023年の予想EPS(1株当たり利益)を11-14%減額修正したのに伴い、目標株価を引き下げた。株価の先行きについては強気見通しを継続している。

 2021年通期の売上高について、BOCIはほぼ予想水準に達するとみている。ファーウェイのR&D(研究開発)費がプラス成長を確保するとみられる中、ファーウェイ関連ビジネスは増収を維持する見込み。2021年1-9月時点では、ファーウェイのR&D支出は前年同期比3%増の1,020億元だった。一方、その他の顧客向けのビジネスについても、BOCIは2021年下期の売り上げがほぼ予想通りの水準に達したとみる。景気減速下でのITアウトソーシング需要の高まりが理由という。

 その半面、BOCIは利益率の悪化を警戒している。その理由は主に以下の3点。【1】ファーウェイが自らの採算性を維持するために、コスト圧力をサプライヤーに一部転嫁する可能性がある。実際、ファーウェイのITサービスパートナーiSoftStoneは直近のIPO(新規公開株)目論見書の中で、ファーウェイの戦略転換に対応するための投資により、2021年に減益決算となる可能性があると警告した。【2】ファーウェイ以外のビジネスでは、 “BAT”(百度、アリババ集団、テンセント)などのネット大手が成長のけん引役だが、こうした大手各社は政府の規制強化で打撃を受けている。【3】2021年下期には経営陣とスタッフに対し、ストックオプションを含むインセンティブを強化した。

 一方、中軟国際はこのほど、深セン開鴻の持ち分を削減し、連結から外すと発表した。深セン開鴻はファーウェイと中国のオープンソース財団OpenAtom Foundationが開発する国産オペレーティングシステム(OS)「OpenHarmony」の旗艦開発会社として創設された企業。この動きに関してはネガティブな見方もあるが、BOCIは楽観的。既存のHarmonyOS関連のITアウトソーシング、ミドルウェア、サードパーティモジュール事業はすべて中軟国際が握るとし、少なくとも業績への影響は当面軽微とみている。

 BOCIは2021-2023年の予想EPSを下方修正したが、ITアウトソーシングの構造的な成長見通しやクラウド事業の急拡大を受けた高い増収見通しを理由に、過去の平均値を上回るバリュエーションが適正との見解。目標株価の算出では過去2年の平均(17倍)を上回る2022年予想PER(株価収益率)20倍をあてはめた。リスク要因として、ファーウェイへの依存度の高さやITエンジニアの賃金上昇によるコスト増などを挙げた。