中国経済の安定成長はインフラ投資頼み、政策面で追い風
現地コード | 銘柄名 |
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00390 |
中国中鉄股フン有限公司 (チャイナ・レールウェイ) |
株価 | 情報種類 |
4.11HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国のゼネコン大手、中国中鉄の株価は、BOCIが2021年11月前半に推奨して以来、上向きに推移している。BOCIによると、中国経済のほぼ唯一のけん引役となっているインフラ投資は、旧正月(2月1日)休暇以降に加速する見込み。中国では地方政府がインフラ建設プロジェクトを担うケースが大半だが、春にはその財源となる地方政府債の発行ペースが速まる可能性が高いという。BOCIは引き続き、インフラ投資部門の最有力企業の1社として中国中鉄を有望視し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
中国経済の3つのけん引役(消費、輸出、投資)のうち、インフラ投資だけは政策動向次第でこの先、拡大の余地がある。半面、賃金の落ち込みや失業懸念で家計支出の萎縮が見込まれる中、消費の先行きには不透明感が漂う。また、不動産に関しては引き締め策の緩和が期待されるものの、買い手候補の物件購入意欲は低調。不動産市場での「投資」の排除という中国政府の長期目標が、市場から買い手を遠ざける可能性が高い。さらに輸出では、海外の生産活動の正常化に伴い、中国の輸出“特需”が弱まる可能性が指摘されている。こうした点を考慮すれば、中国政府の意向次第で、実際に成長を確保できるのはインフラ投資のみ。景気下支えに向けてインフラ投資の支援が必要な事態となれば、政府はそのための施策を実行に移す見通しという。
BOCIは2022年のインフラ投資が前年からやや加速するとみて、前年比1%増との予測を明らかにしているが、実際にはこの数字をさらに上回る可能性もあるとの見方。インフラ投資の拡大が実際に、景気底上げに寄与する可能性が高いとみている。
中国中鉄はゼネコン“2強”の1社として、建設市場におけるシェアを拡大させている。新規受注は2022年に前年比10%の伸びを示し、業界平均を上回る見込み。通期決算では10%台前半の増収、増益が期待できるという。
BOCIは2020-2023年の利益成長率について、年率平均10%を予想しているが、同社経営陣がインセンティブスキームの実施要件としているのは同12%増。このため実際には、10%を上回る可能性があるとしている。同社の現在株価は2022年予想PER(株価収益率)でわずか2.5倍と、歴史的に見てほぼ最低水準。BOCIはこうした点を指摘し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、地方財政の悪化によるマイナス影響を挙げている。中国では地方財政収入の大半を土地売却収入が占めるためで、不動産引き締めによって収入が減少すれば、インフラ投資に対する地方政府の意欲が低下することもあり得るとしている。