コスト削減効果で2021年度は38%増益、各地の「公立化」政策で逆風続く

現地コード 銘柄名
06169

中国宇華教育

(チャイナ・ユーフア・エデュケーション)

株価 情報種類

 3.73HKD
(12/1現在)

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 河南省の私学経営会社、中国宇華教育の2021年8月通期決算は、売上高が前年比11.2%増の22億5,900万元、純利益が同37.9%増の14億3,500万元だった。買収ペースの鈍化などから、売上高はBOCIの予想と市場コンセンサス予想をそれぞれ14%、17%下回ったが、粗利益率は過去最高を記録し、販売費及び一般管理費は縮小。純利益率は63.5%(前年51.2%)に改善し、通期純利益はほぼ予想通りの水準に達した。ただ、マーケットは総じて、販管費の削減に依存した増益決算を弱いとみて、ネガティブに受け止めている。BOCIは向こう3年度の予想実効税率を引き上げ、これが利益成長率の鈍化を招くと予想。目標株価の算出基準を下方修正し、目標株価を引き下げた。ただ、目標水準までには依然、大幅な上値余地があるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIによると、2021年度通期業績はややネガティブなメッセージを発した。売上高の伸びは予想を下振れ。調整後純利益は予想通りだったものの、粗利益率の上昇と販管費の削減(前年比4.4%減)によるものだった。マーケットは通常、コスト削減に頼った利益成長をさほど評価しない傾向が強いという。通期の配当利回りは26.1%だった。

 同社が展開するK12(幼稚園から高校まで)教育ビジネスは、政策リスクに直面している。各地方当局が相次いで、K9レベル(義務教育に当たる小中学校)の民営学校の大半を、公立校に転換するとの政策方針を通達したため。同社は、K9に属する学校を高等職業訓練学校に転換するための申請を行っているが、実際に認可が下りるまでには時間がかかる見通しという。

 一方、民営大学はほぼ全面的に、「非営利校」から「営利校」への登録変更を申請中。BOCIはこの要因から、2022-2024年度の予想実効税率を5%、8%、10%に引き上げ、結果的に利益の下押しにつながる見通しを示した。ちなみに2021年度の実効税率はマイナス0.5%(税額控除)だった。

 BOCIは向こう2年の売り上げ見通しを据え置いたものの、実効税率に関する想定値の引き上げにより、今後の利益に関してより慎重見通しに転じている。目標株価の算出基準を、従来の「2021年予想PER(株価収益率)21.6倍」から、「2022年予想PER12倍」に大きく引き下げ、これに伴い目標株価を下方修正した。

 レーティング面の潜在リスク要因は政策面。中国政府は職業教育を支援する方針だが、その対象は主に公立校。私学の競争上の優位性が失われていく可能性があるという。また「共通富裕」という政策理念の下で学費の値上げが難しくなる可能性や、業界最大手を主な標的とする政策を考慮し、買収活動が難しくなる可能性などにも言及している。