「オミクロン株」出現などで新型コロナ関連ビジネスの成長余地が拡大
現地コード | 銘柄名 |
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02269 |
薬明生物技術 (ウーシー・バイオロジクス) |
株価 | 情報種類 |
106.40HKD |
株価 企業情報 チャート |
BOCIはバイオ医薬品の開発受託会社、薬明生物技術の2021-2023年の予想売上高を4-6%増額修正した。変異株「オミクロン株」の出現や、米メルクの経口薬の有効性が見込みを下回ったことを受け、新型コロナ関連ビジネスの成長潜在力が増したとみられることがその一因。ほかに、経営陣が示した最新情報が増額修正の一因となった。BOCIはまた、経営陣が示した計画に基づき、2021-2023年の設備投資見通しを上方修正。これに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
南アフリカ共和国が新型コロナの新たな変異株(後に「オミクロン」と命名)の発生を報告したのは11月24日のこと。続いて26日には、米製薬大手メルクと米リッジバック・バイオセラピューティクスが、共同開発中の新型コロナ経口薬のデータを発表し、その有効性が見込みを大きく下回ることが分かった。この2つの出来事は、新型コロナのワクチンおよび経口薬の世界需要を押し上げる要因であり、薬明生物技術の短期的な受注増につながる見込み。同社経営陣は11月1日時点で、新型コロナ関連ビジネスの2021年、2022年の売上高が30億元、20億元に上る見通しを示していたが、その後の状況の変化により、2022年には20億元を超える可能性が高まった。
経営陣はまた、11月1日に収益見通しの上方修正を発表。2021年、2022年の増収率を前年比75%超(修正前は65%)、増益率を45%超(同40%)とした。これに伴い、BOCIは2021-2023年の予想売上高を4-6%増額修正。2021年、2022年の増収見通しを前年比80%、49%に、増益見通しを76%、48%に設定した。新型コロナ関連プロジェクトだけでなく、商用化ステージにあるコロナ以外のプロジェクトの相次ぐ立ち上げが、大幅な収益増を支えるとみている。
一方、BOCIは2021-2023年の設備投資予想を10-110%の幅で上方修正した。経営陣が短期的な設備投資計画を年間40億-50億元に引き上げる方針を示したため。同社の年産能力は2021年、2022年に15万リットル、25万リットルに上向くとみられ、2024年にはさらに43万リットルへの拡充を目指すという。また、同社は2022年までに、フリーキャッシュフロー(FCF)のプラス化を目指す方針を明らかにしている。
BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き上げた。現在株価は2022年予想PEGレシオ2.1倍と、世界の同業銘柄の平均値である同1.9倍を上回る水準。BOCIが新たに設定した目標株価は3.2倍に相当するが、同業銘柄と比べた売り上げ見通しの明確さや最先端企業であるという点から、この目標PEGの設定は妥当だと説明している(PEGレシオ=株価収益率÷1株当たり利益成長率)。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、世界の製薬会社が研究開発費を削減する可能性と、生産能力の増強が予想より遅れる可能性を挙げている。