2021年7-9月は8%増収、規制下のゲームの不振をオフィスソフトがカバー

現地コード 銘柄名
03888

金山軟件

(キングソフト)

株価 情報種類

36.70HKD
(11/17現在)

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 中国の娯楽・オフィスソフト大手、キングソフトの2021年7-9月期決算は、売上高が前年同期比8%増、前四半期比で2%増の15億1,000万元に達した。オンラインゲーム部門の前年同期比13%の減収をオフィスソフト部門の好調がカバーした。同社経営陣は政府のオンラインゲーム規制の先行きについて依然として慎重見通しを示している。ただ、BOCIは2022年にはオフィスソフト「WPS」事業が予想を上回る可能性があるとし、その理由として、民間企業の利用拡大や消費者向けの会員制サブスクリプションサービスのけん引を指摘。ゲーム収入に関する予測を下方修正しながらも、WPSの成長を楽観し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期の売上高は前年同期比8%増。粗利益率は82%と、市場予想を小幅に上回る水準だった。増収をけん引したのは、主にオフィスソフト部門のライセンシングおよびサブスク・サービスの好調。半面、国内で規制強化に直面したオンラインゲームが足を引っ張った。また、関連会社損失は前四半期の2億1,800万元から2億9,200万元に膨らみ、米ナスダック市場に分離上場したキングソフト・クラウド(KC)の赤字拡大をうかがわせた。

 オフィスソフト部門を見ると、傘下の北京金山弁公軟件(キングソフト・オフィス:上海科創板688111)の売上高は、月間アクティブユーザー数の伸びを背景に、前年同期比37%増、前期比2%増の8億370万元と好調。IT応用イノベーションビジネスの持続的成長と消費者会員数の伸びが寄与した。

 オンラインゲーム部門の7-9月期の売上高は、前年同期比13%減の7億700万元。未成年のゲーム中毒防止に向けた政府の規制強化とオンラインゲームの認可審査の停止が響いた。同社はゲーム事業の先行きに対してかなり慎重であり、2021年通期の部門売上高、営業利益について、それぞれ前年比10%減、20%減を見込む。また、政策的な逆風がこの先さらに強まる可能性も排除できないとの見方。成人を含む形での規制強化もあり得るとみている。

 BOCIはオフィスソフト部門、キングソフト・クラウド、ゲーム部門にそれぞれ2022年予想PER(株価収益率)16倍、3.5倍、6倍をあてはめ、持ち株会社としての35%のディスカウントを適用。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づき、目標株価を引き下げた。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

 一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、単一ゲームIPへの過度の依存による影響や、競争激化に伴うクラウドビジネスの採算化の遅れなどを指摘。逆に、当局によるゲーム認可審査の再開や、自社株買いあるいは増配といった新たな動きが、支援材料となる可能性を指摘している。