上海「科創板」に重複上場、香港市場で株価急落も長期見通しを楽観

現地コード 銘柄名
03898

株洲中車時代電気

(CRRCタイムズ・エレクトリック)

株価 情報種類

41.05HKD
(9/8現在)

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 中国中車傘下の鉄道向け電力制御システム大手、株洲中車時代電気のH株株価は9月7日、香港株式市場で前日比11.5%安と急落したが、上海のハイテクイノベーションボード「科創板」(STAR)では同じ日に、デビュー初日を迎えた同社A株が83%の急伸となった。香港市場でのH株急落の要因となったのは、「科創板」への重複上場に伴う20.5%のEPS(1株当たり利益)希薄化。IPO(新規株式公開)前の発行済み株式総数11億7,500万株に、2億4,080万株が上乗せされたことが影響した。BOCIが前回、レーティングを中立的に引き下げてから、同社H株はこれで20.6%下落したことになる。ただ、BOCIは長期的には、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:電源電力の制御や供給を担う半導体素子の一種)製品やコンバーター、電気自動車(EV)向けの電子制御システムが成長エンジンになるとみて、同社の先行きを楽観。H株の目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する見方を「中立的」から「強気」にアップグレードしている。

 上海「科創板」への重複上場に向けたIPOでは新株2億4,080万株を発行したが、これはIPO前の発行済み株式総数の20.5%に相当し、IPO後では17%に当たる数字。公開価格は1株当たり31.38元。調達資金は75億6,000万元に上り、この先の新規ビジネスの開拓を後押しする見通しとなった。また、今回のIPOでは、管理職や研究開発スタッフ、エンジニアら936人に計2,213万株(株式総数の1.56%)の株式報酬を付与した。価格は公開価格と同額で、権利確定期間は12カ月となる。

 同社は引き続き、IGBT、コンバーター、電子制御システムなど、各技術市場におけるマーケットリーダーの座を維持している。うちコンバーターは川下の応用範囲が広く、用途はEVや電力網、送電、変電設備、家電製品などに及ぶ。また、同社のIGBT製品は国内最高レベルの性能を誇り、川下のEVメーカーとの提携を通じ、EV業界で急速に浸透している。クリーンエネルギー業界におけるエネルギー貯蔵設備の急発展に伴い、変電設備用のIGBT製品需要もこの先、拡大する可能性が高いという。

 BOCIは2021年の発行済み株式総数の加重平均値をあてはめ、2021年、2022年、2023年のEPS希薄化率をそれぞれ6%、20%、20%と算出。目標株価のベースを「2021年予想PER(株価収益率)17.6倍」から「2022年予想PER18.6倍」にシフトした上で、希薄化効果を全面的に反映させ、新たな目標株価を設定した。目標基準をPER17.6倍から18.6倍に引き上げたのは、IPOでの調達資金に裏打ちされたEV向けビジネスの発展期待が理由。一方、レーティングに関する主な潜在リスク要因として、BOCIは現在の株価の調整局面が予想以上に長期化する可能性に言及している。