2021年中間決算は21%増益、成長企業への投資戦略が奏功

現地コード 銘柄名
00762

中国聯通(香港)

(チャイナ・ユニコム(ホンコン))

株価 情報種類

4.45HKD
(8/20現在)

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 中国の3大通信キャリアの1社、チャイナ・ユニコムの2021年4-6月期決算は、主力の通信サービス収入が前年同期比6.7%増の748億元、純利益が20.9%増の53億元に達した。成長性の高い関連会社への投資が実を結びつつあり、今後は自律成長以外に、子会社の分離上場に伴うキャピタルゲインが収益増に寄与する見込み。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年4-6月期の通信サービス収入は前年同期比6.7%増の748億元。内訳をみると、固定通信サービス収入が12.3%増の337億元に達する半面、モバイルサービス収入はわずか2.6%増の410億元。モバイル部門のARPU(契約者1人当たり月額収入)は2.7%増の44.1元だった。

 4-6月期のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は前四半期比で9.4%の伸びにとどまり、前年同期比では0.1%減少した。営業費用が上期に前年同期比9.7%増と膨らみ、同期の通信サービス収入の増加ペース(7.5%増)を上回ったことが響いた。経営陣によれば、クラウドやビッグデータ、AIといった高成長事業への投資に伴う技術スタッフの獲得に向け、成果報酬型のインセンティブ制度を導入した結果、人件費が12.7%増加したことなどが影響したという。また、一般管理費は上期に16.9%増。産業インターネット事業の急成長に対応するために、技術サポートやITサービスなどのコストがかさんだ。

 一方、関連会社の利益貢献は、2021年上期に前年同期比89%増の33億5,000万元に達し、高成長分野への投資戦略が成果を上げていることをうかがわせた。例えば、合弁会社の招聯消費金融は上期に、176%の大幅増益を達成している。

 同社はテック子会社、聯通智網科技(China Unicom Smart Connection Technology)の本土A株上場を検討している。聯通智網科技はスマート・トランスポーテーション、インテリジェント・コックピットといったIoV(クルマのインターネット)事業に特化した企業で、同社の持ち株比率は69%。2020年通期の売上高は4億2,000万元、純利益は6,700万元だった。

 経営陣は2021年12月通期の利益成長率について、上期とほぼ同じペースを見込み、通期の配当性向を前年の40%から引き上げる意向。また、今回初めて中間配当を実施する方針であり、1株当たり0.12元を予定する。この数字は上期利益の40%に当たる。

 BOCIは同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。大方の評価とは異なり、新規ビジネスへの投資による効果を前向きに受け止めている。一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスクとしては、市場競争が激化する可能性のほか、通信費に関する政府の監督強化が収益にマイナス影響を及ぼす可能性を挙げている。