新規事業への投資で2021年1-3月期に赤字拡大、ネット出前は取引額倍増

現地コード 銘柄名
03690

美団

(メイトゥアン)

株価 情報種類

265.20HKD
(5/31現在)

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 中国の生活関連プラットフォーム最大手、美団の2021年1-3月期決算は、売上高が前年同期比121%増の370億元に達し、市場コンセンサス予想を3.8%上回った。ネット出前の総取引額(GTV)の倍増や、店舗予約、ホテル予約収入がコロナ前のレベルを回復したことなどが寄与した。ただ、店舗予約、ホテル予約の営業利益率が42%の高水準を記録する半面、新規事業の営業損失が80億元に増大。結果的に、同社全体の営業利益率はマイナス11.3%に沈んだ。BOCIは独禁法違反で、国家市場監督管理総局(SAMR)から罰金命令が下る可能性と、営業損失が2022年も続く可能性を指摘し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期には売上高が予想を上回る半面、赤字が拡大した(純損失は48億4,700万元と前年同期の15億7,800万元から拡大)。ただ、営業損失は48億元、非GAAPベースの純損失は39億元と、いずれも市場予想より小幅の赤字に踏みとどまった。

 新規事業は成長エンジンではあるが、現段階では多額の先行投資が足かせとなり、赤字の元凶。1-3月の新規事業・その他収入は前年同期比137%増の99億元に達したが、営業損失は80億元に上り、営業利益率は81.6%のマイナスだった。特に先行投資負担が重いのは地域コミュニティー向け共同購入サービス「美団優選」(Meituan Select)。BOCIは手数料率を10%と想定し、「美団優選」の1-3月には売上構成比が1桁台後半に達した可能性を指摘している。経営陣は大幅な成長潜在力を指摘するなど、「美団優選」を含む新規事業に対して強気姿勢を崩していない。今後もコールドチェーン(低温物流システム)やサプライチェーン、ロジスティクスなどへの投資を継続する方針を明らかにしている。BOCIは新規事業部門の営業損失が2021年4-6月には100億元規模へさらに拡大すると予想。うち「美団優選」事業の営業損失が58億元に上るとみる。

 BOCIは新規事業の貢献を織り込み、2021-2023年の予想売上高をそれぞれ6.7%、3.8%、4.2%増額修正した。高額品消費を奨励する同社の戦略調整を前向きに評価し、AOV(平均客単価)の伸びを見込む。さらに、ユーザー忠誠度の向上で、年間取引額も上向くと予想。主力のネット出前ビジネスの長期成長を楽観視している。ただ、BOCIは罰金命令の可能性(4-6月に予想)と、新規事業に対する2022-2023年の多額の初期投資の可能性を考慮。2021-2023年の利益見通しを減額修正した。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、小売市場での一段の競争激化の可能性、オンライン日用品・生鮮食品販売の浸透度が予想を下回る可能性、データセキュリティーやユーザーのプライバシーに関して当局が規制強化に動く可能性などを指摘している。