トランプ政権が誕生してから約1カ月半が経ちました。去年の大統領選挙において、予めクリントン支持を表明していたアメリカの新聞は92%、購読者ベースだと97%に及びますが、その殆どが予想を外す結果となりました。選挙結果判明後、しばらくは予想を外したことに対する反省や検証に紙面を使っていたと思いきや、トランプ氏が大統領令を連発し始めるやいなや、再びトランプ氏に対する攻勢を強めています。通常、「大統領就任100日」というのはメディアも新大統領の出方を暖かく見守るものですが、近年インターネットやSNSの台頭により競争が激化しているのか、「100日」を待つ余裕も無いように見えます(何故メディアの情報を鵜呑みにしてはならないか 参照)。

それでもアメリカの多くのメディアは、大統領選挙のかなり前から、どちらの候補を支持しているかを表明してくれますので、情報を取り入れる方も、それを割り引いて取り入れることができます。しかし日本ではそのようなおことわりもなく、それら報道があたかも中立メディアのものであるように報じられるケースが多いように思います。もちろん事実と異なる情報を流しているわけではありませんが、やはりトランプ氏の暴言は何にも優先して取り上げられる傾向は顕著です。大統領選挙以降、日本の友人から頻繁に「アメリカは大丈夫か」と聞かれますが、トランプ氏の選挙演説を聞いていれば選挙前も後も変わらないし、連発してきた大統領令も、言っていたことを実行しているだけで特にサプライズはありません。恐らく暴言ばかり報道されていた日本では、そもそもトランプ氏がどのような選挙演説を行っていたかご存じない方が多く、「アメリカは大丈夫か」になってしまうのだと思います。