3月18日前後は要注意?米国の利下げは?
株式のほか為替、金利の各市場ではリスク回避の動きが顕著だ。為替市場で買われているのは米ドルと日本円のほかスイス・フラン。いずれも安定通貨と位置付けられる。ドルと円は他通貨に比べて同ペースで水準を切り上げてきたため、ドル/円レートはさほど動かないように見える。
しかし、地理的にも経済的にも中国と距離のあるスイス・フランは対ドルで高騰し、スイス国立銀行による「スイス・フラン売りの市場介入の用意がある」との発言が報じられたほどだ。一方、オーストラリア・ドルは対ドルで2009年以来11年ぶりの水準に下落している。
こうした混乱の転機となりそうなのが米国の政策金利引き下げ。FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年、3回の利下げを断行。政策金利の誘導目標を1.5~1.75%に引き下げたばかり。
それでも米国の金利先物市場を運営するシカゴ・マーカンタイル取引所が算出する3月17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ確率は26日に41%(20日は8.9%)へ急上昇した。4月までの利下げ確率となると78.9%の高率になる。米国では10年や30年といった長い年限の国債利回りが史上最低水準に低下し、こちらも利下げ織り込みが進んでいる。
3月18日のFOMC終了後、パウエルFRB議長の定例記者会見が予定されている。パウエル氏が利下げに寛容な姿勢を示せば、金利低下が一段と進み、株価の押し上げ材料として作用しそうだ。トランプ大統領は26日の記者会見で「FRBは重大な過ちを犯した」と述べ、これまでのFRBの金利引き下げが不十分だったと批判しているだけに、3月18日のパウエル氏会見の前には利下げの期待感が膨らみそうだ。
欧州でも、ユーロ圏の短期金利が年内の0.1%程度の利下げを織り込んだ。さらに圏内最大の経済規模を誇るドイツが財政再建のための支出抑制を一時棚上げして財政政策による景気浮揚を図る方針だと報じられた。
金融政策はウイルスには効かないが、株価にはしばしば絶大な効き目を発揮してきた。米国などの利下げ機運の高まりと、感染者数拡大ペースの減速が重なれば、市場は「コロナウイルス後」の超低金利メリットを織り込んで急反転する可能性がありそうだ。