楽天証券でも人気の高い海外の株式やリートに投資を行うファンドは、そもそもいつ頃から存在しているのでしょうか。今回は、6月に63回目の「誕生日」を迎えた日本の投資信託の歴史について見ていきます。
60年以上の年月を経て現在の姿に
日本で投資信託が誕生したのは今からちょうど63年前の1951年6月。証券投資信託法が施行され、当時の野村、大和、日興、山一の4大証券が国内株式ファンドの販売を開始したところまでさかのぼります。元本保証のない投資信託の販売は長い間証券会社に限定されてきましたが、後に銀行や郵便局(現在のゆうちょ銀行)にまで販売網が広がり、残高も積み上がっていきました。
運用面における規制緩和も、投資信託の残高の積み上げに貢献しています。投資信託に組み入れることができる資産は、1950年代まで国内株式に限定されていました。その後60年代には国内債券、70年代には海外証券まで拡大され、さらに為替変動リスク低減のための先物予約も行えるようになりました。また、1995年にはデリバティブの利用が認められるようになり、投資信託の中で元本の何倍もの資金を運用することが可能となりました。現在人気を博しているリート(不動産投資信託)に投資を行うファンドも、2003年の規制緩和を経て誕生したものです。
若く、短命な日本の投資信託
一見すると長い歴史を持つ日本の投資信託ですが、誕生から100年以上が経過したイギリスや米国と比べると、その歴史はまだまだ浅いと言わざるを得ません。前述のリート型ファンドも、毎月分配型を中心に根強い支持を集めていますが、最もトラックレコード(過去の運用成績の履歴)の長いものでまだ10年程度です。
今年1月にはNISA(少額投資非課税制度)が始まりました。個人の資産形成に自助努力が求められていく中で、投資信託が担う役割は今後ますます大きくなるとみられています。楽天証券の調査によると、日本で運用されている投資信託(国内追加型株式投資信託)の平均寿命(設定日から償還日までの運用年数)は足元で約5年。運用年数として決して長いとは言えません。市場動向に一喜一憂することなく、中長期に渡ってじっくりと資産を積み上げていけるよう、息の長い投資信託が根付くことを願うばかりです。
投資信託をめぐる制度面、規制緩和の動き | |
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1951年 | 日本初の投資信託が発足、ただし投資対象は国内株式に限定 |
1961年 | 公社債投信が発足、国内債券の組入れが可能になる |
1970年 | 外国証券の組入れが可能になる |
1992年 | MMFが発足 |
1995年 | デリバティブのヘッジ目的以外の利用が可能になる |
1998年 | 投資信託の銀行窓販解禁 |
投信運用会社の設立が免許制から認可制に | |
2000年 | 不動産投資信託(Jリート)解禁 |
2001年 | 国内初の上場投信(ETF)3銘柄が東証に上場 |
2003年 | 投資信託にリートの組入れが可能になる |
2004年 | 証券優遇税制の適用開始 |
特定口座で公募投資信託の受け入れが可能になる | |
2005年 | ペイオフ解禁 |
郵便局(現ゆうちょ銀行)による投信窓販開始 | |
2008年 | 証券優遇税制の延長決定(11年末まで) |
2010年 | 証券優遇税制の再延長決定(13年末まで) |
2014年 | NISA(少額投資非課税制度)開始 |
※各種資料、文献を基に筆者作成