今回は、投資信託の分配金について押さえておきたいポイントを紹介します。
不特定多数の投資家から幅広く資金を集めて運用を行う投資信託には、最低でも年1回の決算が義務付けられています。この決算期末にそれぞれのファンドの分配方針に基づいて支払われるのが分配金です。
現在は毎月の決算ごとに分配金を支払う毎月分配型が圧倒的な支持を集めていますが、この他にも年6回決算の隔月分配型や年4回決算の四半期分配型などがあり、これらを総称して定期分配型と呼ぶことがあります。また、年間決算回数が2回、または1回のタイプの中には、分配金を支払わず、ファンドの中に収益を蓄積する無分配型もあります。
【ポイント1】 「利息」とは別物
利息が預貯金の元金とは別々に管理されているのに対し、投資信託の分配金は決算を迎えるまではファンドの資産と一緒に運用されています。決算日にこの運用資産の一部を切り出す形で分配金が支払われるため、決算の直後は資産価値が減り、基準価額も低下します。
なお、預貯金の利息は預け入れ時点の金利で額が確定しますが、分配金は投信委託会社(運用会社)の判断によって増額や減額がなされるほか、支払いが見送られることもあります。
【ポイント2】 基準価額1万円未満でも分配は可能
投資信託協会で株式追加型に分類される一般的なオープン投信は、運用開始時の基準価額である1万円を割り込んでいても分配を行うことが認められています。さらに、分配金の原資となる資金を翌期以降に繰り越すことが認められています。
分配金は、原則的にファンドに組み入れられている資産の配当収益金から捻出されますが、元本部分が分配金に充当されることもあります。ファンドの保有者(受益者)にとってみれば、この元本に相当する部分(特別分配金、あるいは元本払戻金と呼ばれます)については利益が出ていないので課税されません。
「グローバル・ソブリン・オープン」のように、実際は債券しか組み入れていない投資信託が「公社債投資信託」に分類されないのには、こうした理由があります。