バブル崩壊、リーマン・ショック…「9月」は嫌なイメージの月

 さぁ、配当や優待の話題でざわつく9月相場に入りました。9月決算企業は200社ほどしかありませんが、3月決算企業で中間配当や優待の権利を設けている企業が多いことから、9月は高配当銘柄や優待銘柄への関心が高くなる月です。

 一方、9月は月別騰落率(前月終値比)では1年間で最も弱いといわれています。実際、1970年から2023年の月別の騰落率の平均データを確認すると、9月は前月終値比マイナス0.71%でした。

 8月は同マイナス0.70%とほぼ同じですが、前月終値比でマイナスとなっているのは8月と9月のみですので、最も弱い月は9月ということになります。ちなみに最も強い月は11月の同+1.52%でした。

 9月が弱い理由として、ただのアノマリー(経験則)なのか、需給的なものなのかははっきりしません。ただ、多くの市場関係者に聞くと「9月は下げやすいイメージがある」との声が聞かれます。私もこのイメージを強く持っています。

 実際、バブル経済崩壊後の1990年9月は19.23%下落しており、2008年9月のサブプライム・ショック(リーマン・ショック)の時は13.87%下落しています。2008年10月は23.83%下落と54年間のデータでは唯一の20%台の下落を記録していますので、2008年9~10月の2カ月間での下落率は37.70%です。

 今年8月上旬の歴史的な急落もインパクトはありましたが、月間ベースではほぼ値を戻したので、2カ月かけて下げ続けたサブプライム・ショックの衝撃のすさまじさは桁違いです。この時の市場の崩壊は私の脳裏に焼き付いていますので、「9月」は嫌なイメージが強いのです。

配当や優待狙いの銘柄は安く拾える可能性あり

 このようなデータやイメージを持つ9月は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など指数を中心とした売買は難しいでしょう。一方、指数の動きは気にせず、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で高配当銘柄か優待銘柄を中心に投資している投資家からすると話は別です。

 むしろ日経平均が暴落し、多くの銘柄も急落する8月5日のような相場展開となれば、配当銘柄や優待銘柄を安く拾える可能性があります(8月5日の急落相場でどれだけの投資家が「買い」で反応できたかは置いておきますが)。

 今年の権利付き最終日は9月26日(木)ですので、あと2週間ほどは、配当銘柄や優待銘柄が日経平均株価やTOPIXに比べてしっかりとした動きを見せると考えます。権利落ちの27日(金)には配当分が株価から下落してしまいますが、5年後、10年後と先を見据えた長期投資であれば気にもならない小さな値動きでしょう。

長期投資で狙いたい、9月優待銘柄5選

 ということで、今回は9月に優待をもらえる権利を取ることができる銘柄を5銘柄ご紹介します。今回ご紹介した5銘柄はいずれも100株から株主優待制度を設けていますが、株数のほか保有年数の条件を設けている銘柄も多くありますので、HPでしっかり確認しましょう。

 なお、最近はやりのQUOカード優待は外しています。株主優待の本質的な考えとして「自社製品や事業内容を理解してもらう姿勢」があると考えていますので、話題性重視のイメージが強いQUOカードは少し冷めた目で見ています。この辺はいろいろな考えがありますので、あくまでも私個人の意見としてお聞きください。

銘柄名 証券コード 株価(円)
(9月10日終値)
ターゲット ポイント
ヤクルト本社 2267 3,116 スワローズ好き ヤクルトスワローズのファンクラブ入会権や自社商品などがもらえる
三越伊勢丹HD 3099 2,176 デパート好き 三越や伊勢丹など百貨店のほかオンラインストアでも利用可能
FOOD&LIFE COMPANIES 3563 2,606 寿司好き、ファミリー向け スシローや寿司居酒屋の杉玉で利用可能
MTG 7806 1,524 楽して体鍛える系 SIXPADなどをポイント割引で購入可能
ヤマダHD 9831 450 家電好き ヤマダデンキなどで利用可能

ヤクルト本社(2267)

 プロ野球球団のヤクルトファンの方は必見です。9月末に100株以上保有の株主には、プロ野球の東京ヤクルトスワローズオフィシャルファンクラブの「ライト会員」入会権を、1000株以上保有の株主には、「レギュラー会員」入会権を贈呈しています。3月末はアップルジュースや、そうめんなど商品詰め合わせがもらえますし、3年以上継続保有の株主は化粧品を追加でもらえます。豊富な株主優待のバリエーションが特色です。

三越伊勢丹HD(3099)

 言わずと知れた百貨店の三越や伊勢丹に加え、スーパーの「クイーンズ伊勢丹」やオンラインストアなどでも幅広く利用可能な優待を行っています。10%割引(対象外の品目はあります)などの優待制度を設けており、100株以上保有で優待の権利は得られます。

 300株以上、3月末の基準日(通常月末最終営業日)を2年連続で迎えた株主は、優待を利用できる限度額が2倍となります。一部ブランドなど適用外の品目がありますのでHPでしっかりチェックする必要はありますが、デパート好きな投資家は要注目でしょう。

FOOD&LIFE COMPANIES(3563)

 3月末、9月末に100株以上保有の株主には、「スシロー」の全国店舗、京樽が運営する全ブランドのほか、大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」の国内全店舗で利用可能な優待割引券を贈呈しています。ちょうど今年9月末から割引券の贈呈枚数が増加しますので、お寿司大好きな投資家は要注目ですし、家族に喜ばれる優待と考えます。

MTG(7806)

 トレーニング器具「SIXPAD」で有名なメーカーです。公式オンラインショップで利用可能なポイントが優待として付与されます。継続保有期間が6カ月以上3年未満の継続保有の場合、100株以上500株未満保有で6,000ポイント、500株以上1,000株未満で4万ポイント付与されます。

 継続保有期間が3年以上の場合は100株以上500株未満保有で8,000ポイント、1万株以上保有であれば最大10万ポイントとなります。1ポイント1円で利用可能です。何かをしながら、体に刺激を与えたい投資家は要注目となります。

ヤマダHD(9831)

 3月末、9月末に100株以上保有の株主には、ヤマダデンキで利用できる優待割引券を贈呈しています。ヤマダデンキの全国店舗のほか、IDC OTSUKAの家電売り場で使用可能です。一回の買い物での利用枚数には最大50枚(2万5,000円分)と制限が設けられていますので注意は必要です。家電好きな投資家の方は要注目です。