長期積立投資は「タイミング投資」と異なる資産形成法
新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートし、これまで証券投資に距離を置いてきた一般の方々も資産形成に目を向け始めました。日本で加速する人口減少や少子高齢化を実感し、「年金頼りの老後」が難しくなることが明らかとなり、若い世代や中堅世代を中心に「少額からでも資産形成に励めば老後に向けて相応の備えができる」と考え始めています。
最近まで日本では「投資」のイメージは「安く買って高く売る」を繰り返すタイミング投資と考えられてきました。1990年からのバブル崩壊以降、日経平均が長期低迷期に陥り上下動を繰り返してきたことが主な要因です。
一方、ここ数年で「資産形成のコアに据えるべきは長期積立(つみたて)投資である」との認識が広まってきました。米国の一般個人にとり「常識」である長期積立投資に対する信頼は、図表1で示した米国株式の長期的な堅調パフォーマンスが支えとなってきました。
図表3は、30年前の1994年1月に3万円をS&P500総収益指数(円)に投資し、その後も毎月末に3万円ずつ継続的に投資してきた場合をシミュレーションしたものです。合計で360回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで1,080万円(=3万円×360回)となりました。
この間のドルコスト平均法と複利運用(雪だるま)の効果で、投資元本の時価評価額は約7,871万円に膨らんできました(2023月12末時点)。資産の時価評価額が累計投資額(投資元本)の7.29倍に成長してきた投資成果を示します。長期積立投資は、資産形成に向き合う時間軸の長さを武器にした長期リターンの追及が本質です。
図表3は、幾度ものリスク(リターンのブレ)を乗り越えてきた米国株式への長期積立投資がもたらした資産形成の果実を検証したものです。株価の上下に一喜一憂せず、資産形成に取り組むにあたっての参考にしていただければと思います。
<図表3>S&P500総収益指数(円)の定時定額投資実績を長期で検証
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