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著者の白石 定之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
この先の日経平均、年内は調整、本格上昇は来年とみえるが…

景気循環上の底打ちは7月下旬でほぼ確実か

 日経平均株価(225種)は3月に4万円台を付けて以降、ここ直近では3万8,000円台での膠着(こうちゃく)状態となっています。

 この後、上昇に転じるのか、調整局面が続く展開になるのか、気になるところかと思いますが、まずは、景気循環の観点から、どのように景気の局面が移っていくのかを見ていき、それを基に、今後の日経平均の動向について、考察をしてみたいと思います。

 まず、私が捉えている景気循環における株価のイメージは次の通りです。

(図1)景気循環における株価のイメージ

出所:マネーブレインが作成

 この景気循環は、約3年半で循環する在庫循環をベースにしているもので、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえているのですが、それぞれの位置付け、過去における株価の傾向は、次のようになっています。

「春」…不況から景気回復の局面(株価は上昇する時期)
「夏」…景気回復から好況の局面(株価は上昇する時期)
「秋」…好況から景気後退の局面(株価は上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期)
「冬」…景気後退から不況の局面(株価は前半に大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期)

 そして、季節の変わり目については次のように定義づけしていて、現在は「冬(前半)」に位置しています。

(図2)景気循環における季節の変わり目

出所:マネーブレインが作成

 この景気循環と日経平均の関係について、2012年以降の推移は次のようになっています。

(グラフ1)日経平均株価と景気循環の関係

出所:日経平均株価は日本経済新聞社の公表データを基に作成。景気循環はマネーブレインが独自分析し作成

 過去の「冬(前半)」の時期を見てみると、2015年から2016年、2018年から2019年にかけては、いずれも日経平均は下落する動きとなっていますが、今回は、大きく上昇する展開となっています。

「冬(前半)」の次である「冬(後半)」に移るタイミングは、FA(ファクトリーオートメーション)やロボットを扱っているファナック(6954)の在庫循環で決めていて、売上高、棚卸資産、受注高の推移を示すと、次のようになっています。

(表1)ファナックの売上高、棚卸資産、受注高の推移

*青で示した時期は、売上高、棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期
出所:ファナックの決算短信を基にマネーブレインが作成

 4月24日に発表されたファナックの通期決算において、売上高は1,987億円で前期比マイナスとなっている一方、在庫である棚卸資産は、前期比で引き続きプラスの状態となっています。

 今後を推測すると、受注高が売上高よりも低い水準となっていること、直近の棚卸資産の金額は3,625億円に対して昨年度の第1四半期の金額は3,776億円なので、このまま推移すると前年比でマイナスになることから、「冬(後半)」になるタイミングは、次の7月下旬の第1四半期決算発表日でほぼ確実とみています。