米国の「配当貴族指数」の長期総収益パフォーマンスに注目

 新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の「成長投資枠」を活用した分散投資を検討するにあたり、米国市場の「配当貴族指数」(正式名称:S&P500 Dividend Aristocrats Index)の長期的な優勢に注目したいと思います。

 配当貴族指数とは、S&P500構成銘柄(米国の大手企業)のうち「25年以上連続して配当を増やし続けてきた優良銘柄」(現在は65銘柄:S&Pグローバルが選定)で構成されています。

 図表2は、2000年初を起点として配当貴族指数、S&P500(米国市場平均)、TOPIX(東証株価指数)(日本市場平均)それぞれの総収益指数(配当込みトータルリターンインデックス)の推移を比較したものです。

 配当貴族指数の総収益は、今世紀(2000年初を起点にし)10倍を超える成長を実現しており、S&P500(同期間で5.6倍)や東証株価指数(TOPIX)の総収益指数(同期間で2.4倍)と比較して長期的な優勢を鮮明にしてきました。

 もちろん、この間には米国株式が下落局面に陥ったことが幾度もありました。2000年のITバブル崩壊、2008年の金融危機、2020年のパンデミック危機の影響で米国経済が景気後退入りを余儀なくされたこともあります。

 こうした局面で外部環境や経営環境が一時的に悪化しても「毎年(毎期)必ず配当を増やし続けてきた企業群」を投資家が相対的に評価してきたことを示しています。「配当」を毎期(毎年)着実に切れ目なく増やしてきた企業は、今後も「株主還元を重視する経営を実践してきた企業」として市場で評価されやすいと考えられます。

 近年は、「配当貴族指数」に連動を目指す国内の追加型投資信託や東証上場ETF(上場投資信託)の例:「グローバルX S&P500配当貴族 ETF(東証コード:2236)」など投資ツールの選択肢が広がっており、連続増配銘柄に分散投資するポートフォリオを資産運用に組み入れることが比較的容易となっており注目したいと思います。

<図表2:配当貴族指数の長期パフォーマンスに注目>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2024年3月15日)