製品構成の優良化で1-3月期に64%増益、鉄道当局による今後の入札に期待

現地コード 銘柄名
01766

中国中車

(チャイナ・シーアールアールシー)

株価 情報種類

4.40HKD
(4/30現在)

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 世界最大の鉄道車両メーカー、中国中車の2024年1-3月期決算は、売上高が前年同期比でほぼ横ばいに推移する半面、純利益は同63.9%の力強い伸びを示した。前年同期実績の低さに加え、高利益率の鉄道車両・機器事業の比重が拡大したことが背景。同事業は54.1%の増収を達成し、売上構成比は41.4%、これにより、全体の粗利益率は3ポイント改善した。国有鉄道運営会社である中国国家鉄路集団有限公司は今のところまだ、2024年の入札計画を明らかにしていないが、BOCIは設備機器の供給と保守サービスの両面から、中国中車が恩恵を受けると予想。同社の収益見通しを据え置き、目標株価を維持した。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 1-3月期には売上高が前年同期比横ばいで推移する半面、増益率は63.9%。2023年末に落札した動力分散方式車両(EMU:高速鉄道用車両)の引き渡しがあったために、鉄道車両・機器部門の売上構成比が41.4%まで拡大したことが寄与した。一方、都市鉄道・インフラ部門、新産業部門(機械・電気事業や新興産業ビジネス)、現代型サービス部門(金融、物流、貿易など)の売上高はそれぞれ前年同期比24.3%減、19.3%減、13.2%減。売上構成比は17.2%、37.9%、3.6%だった。このうち2023年通期の売上構成比が34.4%に上った新産業は収益の柱の一つであり、同社にとっての戦略的重点分野。1-3月期には受注残が高水準で推移する半面、製品引き渡しに絡む問題が減収要因となったが、2024年には成長エンジンとなることが期待される。

 同社にとってはこの先、新規の鉄道車両・機器製造と保守サービスをめぐる入札が追い風となる見込み。中国国家統計局と中国鉄路局のデータによれば、1-3月期の鉄道旅客輸送数は前年同期比28.5%増の10億1,400万人。中国国家鉄路集団有限公司はまだ設備調達プロセスを開始していないものの、力強い輸送需要が入札において中国中車にプラスに働くとBOCIはみている。また、EMUは運行開始から6-12年後をめどに高度な保守が必要となるため、既存車両の経年化と高稼働率を受けた保守サービス需要の増加も、同社にプラスとなる見通しという。

 一方の都市鉄道部門では、同社は売り上げ規模の拡大に向け、ライフサイクルをフルにカバーするサービスの提供を強化する見込み。特に地下鉄製造業務の売上高がここ数年、地方政府の予算不足を受けて減少傾向にある中、同社はより多くのビジネスチャンスを模索し、都市鉄道向けのシステム、保守、運営サービスに照準を合わせている。

 BOCIは予想売上高、予想純利益を据え置き、目標株価を維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、車両など鉄道設備の調達ペースが予想を下回る可能性を挙げている。