11月4日、OPECプラスは覚悟を示し「オイルショック」に突き進むか
さしあたり、11月4日(木)、産油国のグループであるOPECプラス(※)側は、消費国側の要請に対し、一定の反応をすることになります。「第22回 OPEC・非OPEC閣僚会議」がその舞台です。
※OPECプラス…サウジアラビア、イラクなどOPEC加盟国13カ国と、ロシア、アゼルバイジャンなど非加盟国10カ国の合計23の主要産油国のグループ。世界の原油生産シェアはおよそ50%。2021年9月時点。
以下のグラフは、OPECプラスの中で減産に参加している20カ国の原油生産量の推移と、彼らが定めた生産量の上限のイメージです。
図:OPECプラスの原油生産量(減産に参加している20カ国) 単位:万バレル/日量
会合の最大の焦点は、「OPECプラスが、消費国の要請に応じて、過度な増産(予定していた日量40万バレルを上回る増産)を実施することを決定するかどうか」です。
9月の会合の際、バイデン政権から寄せられた増産要請を、OPECプラスはのみませんでした。今回は、日本(公式に)をはじめ、公式・非公式の別はあれども、中国やインドなども、増産を要請していると報じられています。
こうした世界的な、主要国が足並みをそろえた増産要請を、OPECプラスがのんだ場合、何が起きるのでしょうか。
要請をのんだ場合、OPECプラスからの原油生産量が増加する思惑が強まり、原油相場は下落する可能性があります。のまずに突っぱねた場合、世界の石油の需給バランスが引き締まる観測が続き、原油相場はさらに上昇する可能性があります。
副次的な効果・影響として、要請をのんだ場合、OPECプラスは「救ってやった」と消費国に恩に着せ、一時的な原油価格の下落を容認しつつ、来月の会合(会合は毎月予定されている)で再び計画通りに戻す(過度な増産をやめる)、などが考えられます。
要請を突っぱねた場合は、追加増産を要請した日本や米国をはじめとした主要国とOPECプラスの対立が鮮明になります。そしてOPECプラスは、自身の存在を否定的に映す「脱炭素」への不満を世界に知らしめながら、さらなる輸出単価(原油価格)上昇の恩恵を享受することになると、みられます。
およそ半世紀前、市場関係者や一般市民は、そうそうたる主要国の要請を突っぱねるOPECの姿を、「わが道を行く」ことを優先して原油相場を大暴騰させた「オイルショック」の時に目の当たりにしました。
図:11月4日(木)の会合の最大の焦点
「自らの原油生産量とその価格は自分で決める」「欧米の石油メジャーに決めさせない」というゆるぎない意志が、彼らを「オイルショック」へと突き動かしました。
今、「脱炭素」の大合唱の中にあって劣勢に立たされているからこそ、「オイルショック」の精神が沸き上がり、「あえて要請を突っぱねる」、展開が起きないとは言えないでしょう。11月4日の会合は、OPECプラスが本気で、脱炭素をうたう国を敵に回す覚悟があるか、本気度が示される会合と言えるかもしれません。
筆者は今、「オイルショック」の「オ」の字くらいは、警戒してもよい時間帯にいると感じています。前回の「年内の価格見通し。金(ゴールド)、原油、銅が「脱炭素」で値上がりするワケ」で述べた原油相場の目先の方向性の考え方も、ご参照ください。
図:NY原油先物(期近 日足 終値) 単位:ドル/トロイオンス
[参考]原油関連の具体的な投資商品
国内ETF/ETN
WTI原油上場投資信託 (東証)1690
NF原油インデックス連動型上場(東証)1699
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ブル2038
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ベア2039
投資信託
外国株
エクソンモービル(XOM)
シェブロン(CVX)
トタル(TOT)
コノコフィリップス(COP)
BP(BP)