日経平均は利益確定売りをこなし足場を固めるか

 日経平均株価は22日に史上最高値(3万8,915円)を34年ぶりに更新し、今週初も続伸しました。前週は「エヌビディア旋風」とも呼ばれた米国株高で海外投資家のリスク許容度改善を映した日本株買いに空売り勢の買い戻しが重なり上値を追った感があります。日本の株高は、米国株高と為替の円安・ドル高による「追い風参考記録」との見方もあります。

 ただ、バブル崩壊前(1989年末)時点の日経平均ベースの予想PER(株価収益率)が60倍を超えていた一方、現在の予想PERは16倍台にとどまり日本株全体での割高感はありません。デフレからの脱却、企業の資本効率改善、円安効果に伴う増益基調持続、増配など株主還元姿勢への期待で日経平均が年内に4万円超を目指す展開が想定されます。

 とはいっても、最近の株価上昇ピッチが急だったため、目先は利益確定が出やすくいったん足場を固める動きとなる方が健全な相場サイクルにみえます。

 図表1が示すように、日経平均の100日移動平均線に対する上方乖離(かいり)率は+15.9%に達し、日経平均のRSI(相対力指数)も「買われ過ぎ」を示す70%を超えて78%に上昇しました(26日)。また、高値圏で推移する米国株がいったん調整に転じると、海外投資家のリスク許容度が減退して短期筋の先物売りが先行し日本株に圧力をかける可能性を軽視できません。

 なお、年初来の日本株高を受け、3月は期末に向けて国内の公的年金や企業年金によるリバランス売り(資産の再配分売り)が嵩(かさ)むことも想定され、日本株が一時的にせよ売りに押されるリスクもありそうです。株価が下落する場面があれば、中期目線でみた日本株の「押し目買い機会」になると考えられます。

<図表1>日経平均の対100日移動平均線乖離率は過熱感を示唆

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年2月28日)