2008年 リーマン・ショック

 米投資銀行リーマン・ブラザーズが9月15日に経営破綻し、世界的な金融・経済危機を引き起こしました。低所得者向け住宅ローン「サブプライムローン」の返済不能者が続出し、金融機関はサブプライムローンを組み入れた証券化商品による巨額の損失を抱えるようになりました。米保険最大手AIGも経営危機に陥ります。日本では、この年の上場企業倒産は33件に上り、戦後最多となっています(帝国データバンク「『上場企業倒産』動向調査」)。

 翌2009年には米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の経営不安も深刻化。日経平均は3月10日に7,054円98銭とバブル崩壊後の最安値を記録しました。

 その後は、主要国の財政・金融面からの経済刺激策や中国の巨額の景気対策で、世界経済は持ち直し、株価も回復していきます。

2011年 東日本大震災

 3月11日午後2時46分に三陸沖を震源とする最大震度7、マグニチュード9.0の巨大地震が発生。国内観測史上、最大規模でした。岩手、宮城、福島県を中心とした太平洋沿岸部を巨大な津波が襲いました。

 死者1万5,900人、行方不明者2,523人(2023年3月時点)に上ります。津波による電源喪失などで東京電力福島第1原子力発電所の事故が深刻さを増し、15日の日経平均は前日比1,015円安の8,605円まで下げました。円相場は10月31日に1ドル=75円32銭の戦後最高値を付けました。

2012年 アベノミクス相場

 12月末に発足した第二次安倍政権はデフレ脱却を目指し、大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を柱とするアベノミクスを掲げました。民主党政権の野田首相が衆議院解散を表明した11月半ばから、積極的な金融緩和を掲げる安倍政権誕生への期待が高まり、株価は上昇を始めました。

2013年 日銀が異次元金融緩和開始

 4月4日、日銀の黒田東彦総裁が金融政策決定会合後の記者会見で、量的・質的緩和の導入を発表。金融政策の操作目標を金利から資金供給量に変更し、長期国債やリスク資産のETF(上場投資信託)の買い入れ拡大を決定しました。アベノミクスの「第一の矢」に当たり、アベノミクスが本格的にスタートします。

 異次元をうたった金融緩和は市場期待を上回る内容から「黒田バズーカ」とも呼ばれ、円安・株高が一段と進むことになりました。日銀はその後、2016年1月にマイナス金利政策、同9月にはYCC(長短金利操作)をそれぞれ導入しました。

 一方、日銀の大規模金融緩和は、国債市場の流動性低下や預貸利ざや縮小による金融機関の収益減少などの副作用も指摘されています。

2016年 英国のEU離脱決定

 英国は6月23日、国民投票でEU(欧州連合)からの離脱を決めました。EU残留派が優勢とみられていましたが、離脱派がきん差で勝利。世界経済の不透明感から世界同時株安の様相となりました。日経平均も翌24日の1,286円安の1万4,952円となりました。英国は2020年12月末に移行期間が終わり、EUから完全離脱しました。

2020年 コロナ・ショック

 2019年12月に中国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された後、2020年2月下旬以降、米国や欧州、アジアへと感染が拡大し、世界的流行(パンデミック)に発展しました。各国で外出制限などの感染抑制策が採られ、人の移動や生産活動、物流が止まり、国境を越えるサプライチェーン(供給網)が寸断されました。

 日本では緊急事態宣言や営業自粛に伴って、飲食店や娯楽産業の営業が停止する一方で、オンライン消費や巣ごもり消費拡大のような新たな消費の潮流も生まれました。

 日経平均は新型コロナ感染拡大による世界的な景気悪化懸念から3月19日には1万6,552円まで下げました。しかし米国をはじめ各国が積極的な金融・財政政策を相次いで打ち出したことで一転し、9月にはコロナ禍が本格化する前の水準を取り戻しました。

 新型コロナワクチンの実用化やコロナ禍からの経済再開への期待の高まりなどで、2021年2月15日には30年6カ月ぶりに3万円台の大台を突破しました。

 2022年には米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)などがコロナ禍からの経済再開に伴うインフレを抑制するために急速な利上げを開始し、日米ともに株式相場は軟調となりました。10月には日米の金融政策の方向性の違いから、円相場は1ドル=151円94銭の円安ドル高となり、2023年1月に一時127円台前半まで円高になったものの、その後も円安基調が続いています。

 日本では2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行し、コロナ禍からの経済再開が本格化しました。2024年には前年に本格化した生成AIブームで米ハイテク株が上昇。日経平均は円安を背景にした日本企業の業績好調も追い風となり、2月22日に34年ぶりに最高値を更新しました。