ブログやX(旧Twitter)で、自身が投資している1日1株の銘柄情報や相場観、投資情報を発信している長期株式投資さん。2004年に株式投資を開始し、2023年3月に独立。2023年の受取配当額は378万円(税引き後)だったそうです。長期株式投資さんが実践している「連続増配or減配しない日本株の配当再投資」法についてお聞きしました。

長期株式投資さんプロフィール

1977年生まれの元会社員。2004年より株式投資を始め、2010年にジェレミー・J.シーゲル著「株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす」に出会ったことで、日本株での配当再投資を投資戦略とする。Twitterやブログで、初心者が投資で失敗しないような情報を発信中。日本株を中心に投資を実施し、2023年の受取配当378万円(税引き後)。連続増配 or 減配しない日本株の配当再投資を実践中。1級FP技能士。TOEIC940点。空手二段・剣道初段
X:@budoukamail(フォロワー数約15万)
著書:『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った「割安買い」の極意』

トウシル:毎月23.5万円の配当金が入ってくる、というのは、会社員にとってものすごく心強い体制ですね! 書籍を書かれた2022年はタイトルに「18.5万円」と入っていて、このころから2年で毎月5万円増えたということになります。これはうらやましい…。

 長期株式投資さんの投資手法は、連続増配or減配しない日本株への投資と伺っています。現在どんな銘柄を保有されているのですか?

長期株式投資さん(以下敬称略):私は、「累進配当」といって、企業が減配をしない、もしくはだんだん増配をしていく方針を明示している銘柄に投資をしています。具体的な保有銘柄は、JT(日本たばこ産業)(2914)NTT(9432)三井物産(8031)、や花王(4452)アステラス製薬(4503)などで、1番投資額が大きいのは三菱商事(8058)ですね。

「累進配当」もしくは「減配の可能性の低い」銘柄を着々と購入して保有額を積み上げていく形で運用しています。2023年の受取配当額は378万円になりました。

トウシル:そもそも、投資を始められたのはいつごろ、どんなきっかけで始められたのですか?

長期株式投資:2004年ごろになります。預金金利がほぼつかない状態で、貯金だけでは増えないなということを痛感しました。何かしら運用をしなくちゃいけないなと思うようになりました。

 まずは書店で投資雑誌を買うところから始めました。また、インターネット掲示板の2ちゃんねる(当時)を見たりもしていましたね。

トウシル:投資をはじめたころから、大型の日本株一択だったんですか?

長期株式投資:いえ。最初のころは新興株が中心だったような気がします。最新の情報源がインターネットだったので、値動きの激しい新興株が話題になるコトが多かったのが理由だと思います。あとは株主優待銘柄を試しにいくつか買ってみたりもしていました。

トウシル:模索期という感じですね。結果はいかがでしたか?

長期株式投資:うーん。成功とはいえません。逆に失敗談はたくさんあります。とある新興株へ投資をしていたのですが、企業の公式ホームページに書かれている将来の展望を読み、それが成功するものだと勝手に思い込んでかなりの金額を突っ込んだのですが…。

トウシル:どうなりましたか?

長期株式投資:2006年にライブドアショックが起こって新興株が壊滅したんです。

トウシル:あちゃー…。

長期株式投資:その後、サブプライム危機やリーマンショックと、連鎖的に株価に影響を及ぼす事件が起こり、マーケットが大荒れになりましたね。

トウシル:痛い思いをされた後、投資手法は変わりましたか?

長期株式投資:新興株自体がヤバそうだなと思ったので、大型株、いわゆる日本を代表するような企業の株にシフトしていこうと考えました。いわゆる投資信託の報告書には、ファンドを組成した内容が載っているんですよね。それを見て、どこの銘柄を買っていて、保有比率が何%なのかを知りながら、自分もそうした銘柄に投資をしてみようといった工夫をしていました。

トウシル:現在の連続増配or減配しない日本株への投資に落ち着いたのは何がきっかけでしたか?

長期株式投資:2010年に「株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす」(ジェレミー・J.シーゲル)という本を読んだのが大きなきっかけです。

 思うように勝てていなかったため、株に関する本を片っ端から買って読んでいたのですが、この本を読んだ時「これはいいな」とピンときました。

株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす(著者:ジェレミー・J.シーゲル/ 2005年11月発売/日経BP/ 2,420円(税込))

トウシル:この本の、どこがぐっときましたか?

長期株式投資:「株式の長期的なリターンは、増益率そのものではなく、実際の増益率と、投資家の期待との格差で決まる」という言葉です。要するに、今株価が高い銘柄が、必ずしもリターンも高いというわけではない、ということで、高い株=リターンも大きい株、というそれまでの概念をひっくり返してくれました。配当を再投資した時のトータルのリターンは、株価が単純に上がっていくだけでは評価ができないということに気づかせてくれたのは、自分の中では大ヒットでした。

トウシル:その後、ご自身の投資スタイルは変わりましたか?

長期株式投資:連続増配または減配しない日本株をさがしはじめました。ヘルスケア・医療分野なら、アステラス製薬(4503)かな、とか、生活必需分野なら花王(4452)かな、と判断して、銘柄を選択し始めましたね。

トウシル:伺っていると、長期株式投資さんは一貫して日本株投資なんですね。

長期株式投資:はい。外国株が気軽に買える環境になったのはここ数年で、2000年ごろは、外国株を投資の選択肢に入れられるのはかなりの知識や手腕をもっている人でしたね。しかも手数料も高く、私のような初心者には手が出しにくい環境でした。

トウシル:投資スタイルを変えてからは、ぐんぐん勝率も上がっていきましたか?

長期株式投資:いえいえ。一気に勝てるようになったわけではありませんが、基本的には、本に書いてあるようなリターンは地道にですが得られるようになってきました。10年以上保有している銘柄がけっこうありまして、そういう銘柄は株価も配当も増え続けています。

トウシル:例をあげていただけますか?

長期株式投資:アステラス製薬(4503)は、2009~2010年ごろに投資を始め、今では株価がおよそ3倍以上になっていますし、配当も増え続けています。途中で売却する必要がなかった銘柄が多いという結果から考えると、当時採った戦略に間違いはなかったんだなと思いますね。

トウシル:売却してキャピタルゲインを狙うということはないんですか?

長期株式投資:基本的に長期保有が目的で、売る予定はありません。もし売却するのであれば、もっと他によい投資先があり、そこにスライドすれば利益が増えると確信を持てるときです。

 逆に、配当を維持できなくなりそうだな、とか業績が右肩下がりだな、など、業績が悪くなっている兆候が現れたら、詳しい背景や状況を分析し、ダメだと思った場合は売る、ということもあります。

トウシル:東日本大震災やコロナ禍はどのように乗り過ごされたんですか?

長期株式投資:震災の際は、2日間で全体的に一気に20%近く株価が落ちましたが、それほど時間をかけずに回復し始めました。電力株は大打撃を受けたのですが、ほかの銘柄はそこまでの影響がなかったので静観していました。

 コロナショックも。株価がガクンと落ちたのですが、これもすぐに戻ったんですよね。基本的に株価はいずれ回復するものだということを歴史上の事実として認識していますし、なにより私はリーマンショックを体験しているので、これら二つの急落にはさほど動揺しませんでした。

 ただ、個人的には、「このタイミングでもっと買い増しできたな」という後悔があります。回復スピードが速かったので、買い逃してしまったという後悔は少し残っていますね。

>>後編「会社を辞めてFIRE!ライフワークは「投資教育」 長期株式投資さんインタビュー[後編]」