「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第22回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ:上昇している株と下落している株、売るならどっち?

「日経平均株価が上がっているのに、保有株が全然上がらない」という話をときどき聞きます。原因はいろいろ考えられますが、最も多いのが「あるパターンの売買」を繰り返した結果です。今日は、みなさまがそのパターンにはまる可能性がないか、確認するためのクイズを出します。

<クイズ> 次のA社とB社の株価チャートをご覧ください。

 5カ月前にA社とB社の株式をそれぞれ1,300円で100株ずつ買いました。その後、A社、B社とも一時1,400円まで値上がりしました。ところが、そこから明暗が分かれました。A社株は悪材料が出て、1,250円まで下落しました。B社株は、好材料が出て、1,450円まで上昇しました。

 ここで、急に10万円資金が必要となり、どちらか売らなければならなくなりました。A社株かB社株、どちらを売ったら良いと思いますか?

<A社・B社株価チャート>

出所:筆者作成

小型株不振続く

「日経平均が上がっているのに、保有株が上がらない」という方は、たぶん、小型株ばかり持っているのだと思います。中でも、東証グロース(旧東証マザーズ)市場に上場している小型株はひどい値動きが続いています。

<日経平均と東証グロース市場250指数の動き:2016年末~2024年3月26日>

出所:2016年末の値を100として指数化。QUICKより著者作成

 チャートをご覧いただくと分かる通り、2021年の秋をピークに、東証グロース市場は大きく値下がりしています。日経平均が大きく上昇しているのに、真逆の動きです。

 不振の最大の理由は、東証グロース市場に上場するインターネット企業やバイオ企業の業績が期待外れとなったことです。東証グロース上場のネット関連株やバイオ関連株が2020年に大きく上昇しています。コロナ禍で人々が外出できなくなり、ネットだけで活動を完結する動きが加速したためです。

 こうした中、東証グロース上場のネット企業には、創業以来、初めて黒字を計上する企業も増えました。待ちに待った高成長がいよいよ実現すると期待を抱かせました。2020年はコロナに対する不安から、バイオ株も買われました。

 ところが、2021年以降、東証グロース市場にとって投資環境は暗転しました。コロナ禍からのリオープン(経済再開)が進むにつれて、人々の活動はネットからリアル経済に戻りました。
一時黒字を計上した東証グロースの新興企業には再び赤字に転落する企業が増えました。

 政府のかけ声で推進してきたDX(デジタルトランスフォーメーション)が期待ほど進まず、日本が諸外国に比べて出遅れてしまった影響もあり、東証グロース市場のネット企業の業績低迷が長引いています。