2010年ごろは世界分断の発生・深化の起点

 V-Dem研究所(スウェーデン)は毎年、各国の民主主義に関する数値を公表しています。同所は長年、選挙制、自由主義、参加型、熟議型、平等主義の各分野の民主主義の度合いを数値化する活動を続けています。V-Demは、Varieties(多様な)Democracy(民主主義)の意味です。

「自由民主主義指数」は彼らが公表する数値の一つです。同指数は0と1の間で決定し、0に近ければ近いほど民主的な度合いが低く、1に近ければ近いほど民主的な度合いが高いことを示します。

 同指数が0.4以下の比較的民主的な度合いが低い国の数と0.6以上の比較的民主的な度合いが高い国の数の推移を見ると、以下の図の通り、2010年ごろからそれまで減少してきた前者が増加に転じ、増加してきた後者が減少に転じたことが分かります。

図:自由民主主義指数0.4以下および0.6以上の国の数(1945~2022年)

出所:V-Dem研究所のデータを基に筆者作成

 世界では、民主主義を正義と疑わない西側諸国と同じ考えを持つ国の数が減り、反対の考えを持つ国の数が増えていることがうかがえます。2010年ごろ、西側と非西側の間に分断が出現し、その後その分断が深まったことを、自由民主主義指数の推移は示しています。