1月雇用統計は堅調維持するか焦点、過去分の下方修正も注意

 米労働省が2月2日に発表する1月雇用統計では、昨年12月に続き、労働市場が堅調なのかどうか注目です。12月は農業部門以外の雇用者数(NFP, Nonfarm Payroll)や失業率は予想を上回る好内容でしたが、1月も好調が続くのかどうか、大事な点です。

 そして、NFPの過去2カ月分の修正内容にも注意したいです。昨年の11月までのNFPは7月を除き全て下方修正されています。今回の下方修正が大きければ、1月分が好結果でもドル売りに転じる可能性があるからです。しかし、下方修正の規模が小さければ、経済のソフトランディング期待が高まることが予想されるため、ドル売りも限定的になることにも留意しておく必要があります。

 ちなみに、NFPの前月からの下方修正幅は8月分が6.2万人、9月分が3.5万人、10月分が4.5万人、11月分が2.6万人となっています。4カ月平均の下方修正幅は4.2万人となります。今回の修正対象月は11月分(17.3万人)と12月分(21.6万人)です。そして2カ月分合計の修正幅に市場は反応するため注意が必要です。

米幅広い業種で人員削減の動きも、2月以降の労働市場に影響

 米労働省が30日に発表した12月雇用動態調査(JOLTS)求人件数は、902.6万件と市場予想を上回りました。労働市場の堅調さがうかがえる内容だったことから、1ドル=147円台前半から147円台後半に円安が進みました。この好結果が2月2日の雇用統計にも反映されるのかどうか注目です。

 一方で、今年に入って米大手ハイテク企業の人員削減が活発化しています。これらの動きはコロナ禍後に大きくなりすぎた経費を削減して収益性向上を目指す動きか、それとも先行きの景気動向を懸念した動きなのか見極めたいです。人員削減の動きはハイテク企業だけでなく、物流大手のUPSや百貨店のメーシーズ、金融のシティグループなど幅広い分野で人員削減の動きが広がっています。人員削減は2月以降に労働市場に影響してくると思われますが、他分野で吸収できるのかどうか鍵になります。

 投機家動向として注目される米国CFTCの円のネット・ショートポジションは(1月9日時点)、5万5,949枚(NY終値:144.48円)となっており、昨年11月14日の13万249枚(NY終値:150.37円)から12月の円高局面で大幅に減少しました。その後の1ドル=148円台への円安局面では、1月23日(NY終値:148.37円)時点で7万645枚となっており、ショートを増やしていますが、まだ円売り余地があるとみるのか、円ショートの増加ペースに勢いがないとみるのか見方が分かれるところです。