今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、金融関連の決算が注目となり、金融システム不安は後退しつつありますが、他の地方銀行の決算内容も予想を上振れた場合は、金融不安の回復につながるだけでなく、投資家心理も改善し相場の上昇をけん引することになります。

 また、FRB(米連邦準備制度理事会)が次回のFOMCで金融政策を決定する上で参考材料にするベージュブック(地区連銀経済報告)にも注目となります。

 最近では労働市場の逼迫(ひっぱく)が緩和しはじめた兆候が見られているほか、最新のCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)の結果でインフレ鈍化を確認したことで、5月のFOMCで0.25%の利上げを実施後、利上げを停止し、年内にも利下げに転じることを市場は織り込み始めているようです。

 また、18日には確定申告期限を迎え、税還付金が株式相場に新たに流入するとの期待感を受けた買いが下値を支えそうです。

 経済指標では、3月住宅着工件数、週次新規失業保険申請件数、4月フィラデルフィア連銀景況指数、3月中古住宅販売、3月景気先行指数、4月製造業・サービス業PMIなどが予定されています。

先週の動き

 4月10日(月)は、前週末の米3月雇用統計がおおむね強い結果になったことで、景気敏感株が上昇し、NYダウは+101ドルと3日続伸。11日(火)も前日に引き続き景気敏感株が上昇し、+98ドルと4日続伸。

 12日(水)は、注目の3月消費者物価指数の伸び率が市場予想を下回ったことが好感され、米株式は買い優勢となるものの、午後に発表されたFOMC議事録でリセッションの懸念が示されたことで、主要3指標がそろって下落し、NYダウも▲38ドルの3万3,646ドルと5日ぶりに小反落。

 13日(木)は、3月生産者物価指数が予想を下回ったことで、インフレ鈍化を示す結果となり、FRBによる利上げ打ち止め期待が高まり、主要3指標そろって大幅高。

 NYダウは+383ドル、ナスダック総合指数は+236Pと4日ぶりに大幅反発。週末14日(金)は、3月小売売上高が予想を下回り、景気悪化懸念や長期の金利引き締め発言もあり、3指標そろって反落。為替はドル高・円安(+1.18円の113.75円)となったことで、シカゴ日経先物は+70円の2万8,490円でした。

今週の指標:ドル/円

 今週は、先週、発表された3月米CPIや3月PPIは市場予想を下回り、インフレの鈍化を示したことで、FRBによる利上げを弱める材料となっています。

 また、これから本格化する企業決算も注目され、3月にシリコンバレーバンクをはじめ複数の地方銀行が経営破たんに陥り、1-3月期は業績悪化が見込まれ、ドルの下押し要因になりやすいと思われます。

 一方では、日本銀行は新体制発足後も現行の金融緩和政策を当面堅持する見通しを示し、日米金利差拡大が想定されることから、ドル買い・円売りとなりやすい。短期的にはポジション調整的なドル買い・円売りが増える可能性もありますが、ドル/円は下げ渋る展開となりそうです。予想レンジは131~133円を予想。

先週の動き

 先週末14日(金)のドル/円は、5月の追加利上げを想定して、ドル買いが強まり、133.84円まで上昇して133.74円で引けました。

 3月小売売上高が予想を下回り、ドル売り優勢となりましたが、その後、発表されたミシガン大学消費者信頼感指数や1年先の期待インフレ率が上昇し、追加利上げ観測が強まりました。5月のFOMCでの追加利上げを織り込むドル買いが加速しました。