今日の為替ウォーキング

今日の一言

人生で起きることの大半は、ボブ・ディランかビートルズの歌にある - スティーブ・ジョブズ

No Matter What

 日銀は、大規模な金融緩和を転換して初となる4月の金融政策決定会合において、追加利上げを検討する。日銀が利上げするかどうか興味のない人でも、自分の住宅ローンの金利がこれから高くなると聞けば無関心ではいられないだろう。実質所得は下がる一方で返済額は増えていくから、生活もゆとりがなくなる。

 住宅ローンの固定型の金利は、長期金利の水準を参考に決められるが、日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)政策を廃止したことで、長期金利は0.90%に近い水準まで上昇した。長期金利の上昇傾向を受けて、金融機関は今後さらにローン金利を引き上げる動きが出ている。

 変動型は住宅ローン利用者の7割以上が選択している。この変動型は、金融機関が企業向けに貸し出す際の基準金利、「短期プライムレート」を参考に決められる。主な銀行の短期プライムレートは2009年1月13日以降、一度も変わっていない。その短期プライムレートに影響を与えるのが短期の市場金利だが、日銀が政策金利を引き上げるなら、金融機関も連動して変動型の住宅ローン金利を引き上げる可能性が高い。

 日銀が利上げを検討するのは、物価目標2%達成の確度が高まったという自信と同時に、日米金利差拡大で止まらない円安をこれ以上放置できないという事情もあるようだ。しかし、米国や欧州を見て明らかなように、利上げをしたからといってインフレが止まるとは限らない。FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレが一過性であるとの誤った判断のために、利上げが遅れてしまった。ECB(欧州中央銀行)も同じだった。そしてインフレの暴走を許してしまった。

 日銀がウルトラ緩和政策をこれから続けると悠長なことを言っているうちに、ドル/円は34年ぶりの安値をつけた。今年に入って平均で1ヵ月に4.50円ずつ円安が進んでいる。このペースで行くならば、年末には1ドル=160円どころか180円になってもおかしくない。輸入インフレも止まらなくなるだろう。その結果何が起きるか。それは日銀の急激かつ急速な利上げだ。日本の高金利時代がいよいよ始まる。

出所:楽天証券作成

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