国の借金の限界は対GDP比で175%から200%!?

 金利を上げると国債(借金)の利払いが増え、金利を下げれば(あるいは日銀のようにゼロ金利を続ければ)、インフレによって大衆の生活は苦しくなる。FRBも日銀も正念場を迎えているようだ。

 債務のスパイラルはどの時点で経済崩壊を起こす可能性があるのだろうか?

 債券王ジェフリー・ガンドラックが率いるダブルライン・キャピタルのライアン・キメルは、ペン大学ウォートン予算モデルによる最近の研究を紹介している。その研究によると、債務(借金)の限界は対GDP(国内総生産)比で175%から200%の負債にあると推定されている。

 ブルームバーグ・エコノミクスは米国の債務見通しの脆弱(ぜいじゃく)性を評価するために、100万通りのシミュレーションを行った。その結果、88%のシナリオで債務残高の対GDP比が持続不可能な軌道にあることが分かったという。

 日本人は銀行預金をすることで間接的に日本国債を買っていて、この預金が投資などで他の資産に回れば、金融システムが崩壊の危機に直面する可能性がある。GDP比で250%超の日本の債務の危うさは、その数字よりも少子高齢化が問題である。

 BRICS+の台頭でドル離れが進む中、米国が大幅な国債金利の上昇を回避するには、日本に米国債を買ってもらうか、再びQE(量的緩和)をやって自分で買うしかない状況だ。金本位制でなくなってからは、国債発行(借金)に歯止めがなくなったが、MMT(現代貨幣理論)にも限度というものがあるだろう。

*MMT(現代貨幣理論)

独自通貨を持つ国は債務返済のための自国通貨発行額に制約を受けないため、借金をいくらしても財政破綻は起きないと説く経済理論。「Modern Monetary Theory」の略でMMTともいい、現代金融理論と呼ぶ場合もあります。この理論では、巨額債務があっても、インフレを抑制すれば、社会保障やインフラなど公共サービスの拡充は可能だと訴えています。ただ、いったん財政規律や中央銀行への信認が失われてしまうと、通貨の下落や輸入物価の上昇を通じ、深刻なインフレと経済の大混乱が発生する恐れがあり、実現困難な理論ともいわれています。