日経平均4万円台到達も、今は株価が下げやすい「冬」前半

 昨年末には3万3,000円台だった日経平均株価(225種)は、今年に入り大幅に上昇し、4万円台に到達するとても強い動きとなっています。

 私が見ている景気循環においては、現在は景気後退から不況の位置にあるので、過去においては株価は下がりやすい局面なのですが、日経平均は逆に大きく上昇する展開となっています。

 今回の局面における日経平均の動きは過去と違ったものとなっていますが、景気循環をベースにした投資は中長期では有効であると私は引き続き考えています。

 このため、ブレることなく、しっかりと景気循環を見て、現在の位置、次の局面はいつになりそうなのかについて、お伝えをしていきたいと思います。

 まず、私が捉えている景気循環における株価のイメージは次の通りです。

(図1)景気循環における株価のイメージ

出所:マネーブレインが作成

 景気循環において、各局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていて、それぞれ次のように位置付けています。

「春」…不況から景気回復の局面(株価は上昇する時期)
「夏」…景気回復から好況の局面(株価は上昇する時期)
「秋」…好況から景気後退の局面(株価は上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期)
「冬」…景気後退から不況の局面(株価は前半に大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期)

 そして、季節の変わり目を次のように定義づけしていて、現在は「冬(前半)」に位置しています。

(図2)景気循環における季節の変わり目

出所:マネーブレインが作成

 2012年以降の日経平均と景気循環の関係を見ると、次のようになっています。

(グラフ1)日経平均株価と景気循環の関係

出所:日経平均株価は日本経済新聞社の公表データを基に作成。景気循環はマネーブレインが独自分析し作成

 2022年11月に「秋」から「冬(前半)」に変わるシグナルが出て以降、現在も「冬(前半)」が続いています。

 過去の「冬(前半)」の時期を見てみると、2015年から2016年、2018年から2019年にかけては、いずれも日経平均は下落する動きとなっていますが、今回は大きく上昇する展開となっています。

景気循環上の底打ちは、4月下旬か7月下旬の可能性高い

 では、次の「冬(後半)」はいつになりそうなのかですが、そのタイミングは、FA(ファクトリーオートメーション)やロボットを扱っているファナック(6954)の在庫循環で決めていて、直近の第3四半期までの売上高、棚卸資産、受注高の推移は、次のようになっています。

(表1)ファナックの売上高・棚卸資産・受注高の推移

*青で示した時期は、売上高、棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期
出所:ファナックの決算短信を基にマネーブレインが作成

(表1)において青で示した時期は、四半期決算において、売上高と棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期で、この決算発表日を「冬(前半)」から「冬(後半)」に変わるタイミングと定義づけしています。

 1月26日に発表されたファナックの第3四半期決算において、売上高は1,978億円で、3四半期連続で前年比マイナスとなっている一方で、在庫である棚卸資産のほうは前年比でまだプラスの状態となっていますが、第2四半期との比較では約160億円の減少で、金額が減る局面に転じてきています。

 では、いつ、売上高と棚卸資産の両方が前年比でマイナスになりそうなのかですが、受注高が売上高よりも低い水準であることを考えると、4月下旬の通期決算発表日か、7月下旬の来期の第1四半期決算発表日のいずれかになる可能性が高いとみています。