2024年1-3月の販売統計はサプライズなし、パリ五輪開幕に向け販売加速へ

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

81.60HKD
(4/18現在)

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 中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品の主力ブランドの売上高は、2024年1-3月期にやや伸び悩み、2024年12月通期の小売販売目標である前年比10-15%増を下回るペースだった。ただ、前年同期実績の高さもあり、これはある程度、市場の予想通り。同社はこの先、パリ五輪に向けて新商品を投入する予定であり、BOCIは五輪の開幕時期が近づくにつれ、小売販売額が加速すると予想。通期目標の未達リスクにはまだ十分、対処可能だとした。強力な製品提供力を強みに、同社株は引き続き、同業銘柄をアウトパフォームするとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の小売販売額にサプライズはなく、旗艦ブランド「安踏」が前年同期比で1桁台半ばの伸び。イタリアブランド「FILA」は1桁台後半の伸びだった。過去の1-3月期の実績は2022年、2023年と連続で高水準。中でも2023年1-3月期にはコロナ禍で蓄積されたペントアップ需要が起爆剤となった経緯があり、BOCIによれば、主力2ブランドの前年同期比伸び率はほぼ市場の予想の範囲内とみられる。一方、韓国ブランドの「コーロン(Kolon)」と日本の「デサント」の小売販売額は合算で、同25-30%増を達成したが、これはハイエンド部門の強化を目指す同社の効果的な戦略を反映したもの。また、1-3月期にはオンライン売り上げがオフラインの実店舗を上回ったが、コロナ禍明け直後の前年同期には実店舗の売り上げが伸びる半面、ネット通販が相対的に低迷したことから、ベース効果が影響した可能性が高いという。経営陣によれば、月次では、3月の数字が1-2月を上回るという好結果が示された。

「安踏」と「FILA」の2024年通期の小売販売額に関する経営陣の目標は、前年比10-15%増。1-3月期の段階ではこれを下回るペースとなったが、経営陣は通期目標の達成に自信を示している。「安踏」ブランドは中国の五輪代表チームと、米プロバスケットボールリーグNBAのカイリー・アービング選手の公式スポンサー。4-6月期、7-9月期に新製品の発売を予定していることが楽観見通しの理由という。

 BOCIも営業指標の改善を受け、通期の目標達成は可能とみている。1-3月期には在庫が適正水準(5カ月)に低下し、小売価格の値引き率も改善した。下期には「安踏」の復調を背景に、旗艦ブランドが前年同期比約10%の増収を確保すると予想。同社全体の通期売上高について、前年同期比14%増との予測を据え置いている。

 BOCIは引き続き2024年予想PER(株価収益率)20倍をベースに、目標株価を維持し、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、小売レベルでの大幅値引きや主力ブランドのセルスルー率(在庫販売率)が後退する可能性、販促費が予想外に膨らむ可能性、予想以上の規模で店舗閉鎖に動く可能性を挙げている。