日銀、景気後退なら緩和修正逃す?実質賃金低迷で消費下押しも

 日本の2023年4-6月期実質GDP(国内総生産)の速報値は年率換算で6.0%増でしたが、輸出主導の成長であり、内需の柱である個人消費はマイナス成長(0.5%減)でした。

 そして7-9月期の民間エコノミストのGDP予測平均は1.0%減とのことです。4-6月期の反動で外需が落ち込むとのことですが、対中取引がさらに低迷すれば日本経済は一段と悪化することになります。

 日本の景気が後退した場合、日本銀行は金融緩和政策修正のタイミングを逸することも予想され、金融緩和継続は円安材料となります。

 厚生労働省が8日に7月毎月勤労統計を発表します。物価変動を加味した6月実質賃金は前年同月比1.6%減で5月の0.9%減からマイナス幅を拡大し、15カ月連続のマイナスとなりました。実質賃金の連続マイナスによって消費の下押し圧力が強まっており、GDPの内需をけん引する力が弱まることになります。7-9月期のGDPで外需が落ち込み、内需も振るわないとなると、日銀の政策転換はかなり遠のくことになります。

 実質賃金のマイナスは15カ月続いており、7月の結果で16カ月連続のマイナスとなっても相場にすぐに円安を方向付けるということはなさそうです。

 ただ、マイナス幅がかなり拡大した場合や、実質賃金発表の20分後に発表される日本4-6月期GDP改定値の内容によっては反応することも想定されるため注意が必要です。

 4-6月期GDP速報値6.0%増よりわずかに下方改定の予想となっていますが、大きく下方改定された場合や、速報値の個人消費0.5%減が大きく下方改定された場合には、日銀の政策修正はかなり後退するとの見方が高まることも予想されます。

 中国経済の低迷や日本の実質賃金低下による消費下押し→日本景気後退→日銀政策修正時期後倒し→円安の流れが起こるのかどうか注目です。米国で労働市場の逼迫が緩和され、米追加利上げ見送りとなっても、円売り要因がくすぶり続ければ、ドル安・円高はかなり抑制されるかもしれません。