「α派」・「β派」の細分化

 さて、株式市場の平均に勝ちにいく「α派」と、主に市場平均の上昇に期待する「β派」を、さらに投資スタイル別に分類してみた。下の図を見てほしい。

図:「α派」・「β派」の分類 

「α派」は、個々の企業を分析することで有望な投資先を見つけようとする「個別銘柄分析派」と、例えば「小型株(時価総額が小さい銘柄)」、「低PER(株価収益率)銘柄」、「高配当銘柄」といったポートフォリオ全体の傾向性で市場平均に勝とうとする「ポートフォリオ戦略派」に、さらに分類できる。

 プロのファンドマネージャーの多く、そして個人投資家で個別株投資に熱心な人の多くは、「個別銘柄分析派」だろう。

 いわゆる「クオンツ運用(数量分析的運用)」に多い「ポートフォリオ戦略型」は、個人投資家には少ないかもしれないが、コンピューターを積極的に使う運用では、このスタイルが主流かもしれない。

 他方、「β派」では、将来の平均的な株式リターンの上下を予想することはできないと考えて、市場平均をじっと持つ「長期分散投資派」と、基本的には市場全体に近いポートフォリオを持つが市場全体の上下を予想してリスク・ポジションを調整する「タイミング派」に分類できるように思う。

 積立投資などでインデックスファンドを購入してじっと持つ投資家は「長期分散投資派」の「β派」だ。「タイミング派」の「β派」は、ポートフォリオ調整の頻度や程度によって差があるが、頻繁に売り買いして、ポジション・ゼロを基本とするはずの日経平均先物などの「トレーダー」と異なり、プラスの株式保有ポジションを維持しつつ時々これを調整する。

 読者は、どのカテゴリーの投資家だろうか。あるいは、どのカテゴリーの投資家を目指そうと思っているか。

 ちなみに、筆者は、一般投資家にアドバイスする際には、「β派」で「長期分散投資派」の意見を言うことにしているが、個人的な好みは「α派」の「ポートフォリオ戦略派」だ。