「複雑さ」を愛せ。もはや市場分析から複雑さを切り離せない

 ここまで、株価指数とコモディティ(商品)価格の連動性が低下していること、世の中が「複雑化」したことがその主因とみられること、この20年間で起きたさまざまな変化が「複雑化」の原因とみられること、「複雑化」は身近な例で示すことができること、個人間の思考の格差拡大が「複雑化」を助長しているとみられることについて、書いてきました。

 今や、「複雑化」は、「市場」を含む今の世の中を説明する上で、必要不可欠な存在であると言えるでしょう。「単純さ」が魅力的に見えることもありますが、現在の市場や世の中は、それだけでは語りつくせなくなったのも事実です。

図:同時多発テロから20年経過した現在の相場分析の要点

出所:筆者作成

「過去の常識」はシンプルさが売りでしたが、状況が大きく変化したため、相場分析においては、それだけでは不十分と言わざるを得ません。

「過去の常識に頼らない、柔軟で強靭(きょうじん)な、状況を俯瞰する考える力を備える」。このことは、米国で起きた未曽有のテロが発生してから今までの20年間に起きた変化を認識することで得られた、個人投資家を含むすべての市場関係者が今すぐにしなければならないことだと、筆者は考えています。