その他、短いトピック

 過去のレポートにおいて、我々は意味のある自社株買いとそうでない自社株買いについて議論してきました。我々の考えは煮詰まりました。当社は以下を満たす場合にのみ自社株買いを行います。

(a)チャーリーと私が、当社株式が本源的価値より安く取引されていると考えた場合、
及び
(b)自社株買い実行後においても、十二分の現金が残ること

 本源的価値の計算は正確性からはほど遠いものです。従って、我々は二人共、試算された1ドルの価値を実際の95セントの価格で買う緊急性を感じていません。2019年においては、当社のこの価格と価値の関係性が緩やかに当社に有利な時があり、50億ドルを投じて会社株式の1%を自社株買いしました。

 我々は長期的には、当社発行済株式総数を減らしたいと考えています。もし、我々が試算した価格と価値のディスカウントの幅が広がるのであれば、より積極的に当社は自社株買いを行うでしょう。しかし我々は、ある水準に株価を支える様な真似は決してしません。

 A株・B株を問わず20百万ドル以上の当社株式を保有している株主で、当社に保有株式を売りたい場合は、証券会社に当社マーク・ミラードへ連絡を取るようお願いしてください。マークには、午前8時~8時半か午後3時~3時半の間(中央時間)に、売る決意ができている場合のみ電話してください。

 2019年、当社は36億ドルの法人税を米国財務省に送金しました。同年、米国政府は、米国全体で2,430億ドルの法人税を徴収しました。これらの数字から、貴方の会社は全米国企業の連邦法人税の1.5%を支払ったことになります。このことは誇りに感じてください。

 55年前に当社が現在の形で創業した時には、連邦政府に法人税を一銭も支払っていませんでした(それは、過去十年間事業が損失を計上していたという合理的な理由があったためです)。その後、当社は利益のほぼ全てを留保しましたが、この方針は当社株主のみならず、連邦政府をも潤しました。将来におけるほとんどの年において、当社が遥かに多くの金額を国庫に支払うことを我々二人は期待・予想しています。

 2020年5月2日に開催される当社年次総会の詳細があります。例年通り、Yahooが全世界にストリーミング配信します。しかし、一点だけ形式について重要な変更点があります。アジット・ジェイン及びグレッグ・アベル(当社の重要な経営陣の二人)が年次総会で、より話す機会が得られるよう、株主、メディア、取締役メンバーから提言がありました。この変更は大いに理に適うものであります。彼等はすばらしい人物であり(マネージャーとしても、人としても)、彼等の話をより多く聞くべきです。

 当社株主は、3人のベテラン記者(代理質問者)にアジットかグレッグ向けの質問かどうか指定することができます。アジットとグレッグは私とチャーリー同様、事前に質問内容を一切知らされません。

 記者達は交互に観客からの質問を取り、質問者は我々4人の誰にでも質問をすることができます。あっと驚くような質問をお待ちしています。

 5月2日にオマハに来て、キャピタリストの仲間達に会ってください。当社製品も買って、楽しんでください。当社一同、お会いできるのを楽しみにしています。

2020年2月22日
ウォーレン・E・バフェット
取締役会会長

訳文以上

 次回は、特別編。全訳を行った農林中金バリューインベストメンツ常務取締役の奥野が2019年「株主への手紙」からのトピックス「複利効果」「ガバナンス」について考察します。
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