第1四半期決算発表シーズンが始まった

 4月の第2週から2024年第1四半期の決算発表シーズンが始まっています。これまでのところ順調だと言えます。以下は目立った決算発表のハイライトです。

デルタエアラインズ

 デルタエアラインズ(ティッカーシンボル:DAL)の第1四半期決算はEPS(1株当たり利益)が予想36セントに対し結果45セント、売上高が予想125.1億ドルに対し結果137.5億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+7.8%でした。

 3月の売上高は過去最高でした。法人旅行需要は前年比+14%と加速しています。IT、消費サービス、金融機関からの需要が活発でした。アンケート調査では9割の企業が出張を増やすとコメントしています。

 米国内の需要は前年比+3%でした。海外旅行の需要は前年比+12%でした。

 路線別売上高は次のようになっています。

国内79.8億ドル +5%
大西洋13.1億ドル +5%
南米12.7億ドル +12%
太平洋 5.8億ドル +31%

 クラス別売上高は次のようになっています。

エコノミー 54.3億ドル +4%
プレミアム 44.1億ドル +10%

 航空会社の業績を見る際に手掛かりとなる主な指標を見ると有償旅客マイル数(Revenue passenger miles/百万マイル)5万4,207前年比+9%、座席有効マイル数(Available seat miles/百万マイル)6万5,542前年比+7%、乗客マイル利回り(Passenger mile yield/セント)20.53 前年比マイナス2%、座席有効マイル当たり売上高(Passenger revenue per available seat miles/セント)16.98前年比±0%、座席有効マイル当たり費用(CASM/セント)20.04前年比マイナス6%、客席稼働率83%、前年同期は81%でした。

 第2四半期のEPSは予想$2.22に対し新ガイダンス$2.20~2.50が、売上高予想154.1億ドルに対し新ガイダンス153~156億ドルが提示されました。

 2024年度のEPSは予想$6.45に対し新ガイダンス$6.00~7.00が提示されました。

 全体的に無難な内容だったと思います。

ユナイテッドエアラインズ

 ユナイテッドエアラインズ(ティッカーシンボル:UAL)の第1四半期はポジティブサプライズでした。

 EPSは予想マイナス58セントに対し結果マイナス15セントでした。売上高は予想124.5億ドルに対し結果125.4億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+9.7%でした。

 なお他の航空会社のボーイング737 Max 9の扉のボルトが正しく締められておらず飛行中に外れたことに伴う全てのMax 9の点検のための駐機で2億ドルの利益が失われました。

 今期の営業キャッシュフローは28億ドルでした。フリーキャッシュフローは15億ドルでした。

 国内線売上高は前年同期比+6.6%の69.2億ドルでした。欧州路線売上高は前年同期比+11.7%の14.1億ドルでした。太平洋路線売上高は前年同期比+44.3%の13.9億ドルでした。南米路線売上高は前年同期比+9.6%の13.3億ドルでした。中東インドアフリカ路線は前年同期比マイナス23.2%の2.72億ドルでした。

 有償旅客マイル数(Revenue passenger miles/百万マイル)5万7,427前年比+9.3%、座席有効マイル数(Available seat miles/百万マイル)7万1,668前年比+9.1%、座席有効マイル当たり売上高(Passenger revenue per available seat miles/セント)15.79前年比+1.0%、座席有効マイル当たり費用(CASM/セント)17.36前年比マイナス0.6%、客席稼働率80.1%、前年同期は79.9%でした。

 2024年のEPSは予想$9.43に対し新ガイダンス$9.00~$11.00が提示されました。

 ユナイテッドエアラインズは他の大手航空会社よりボーイング(ティッカーシンボル:BA)の機材を多く使用しているため納機スケジュールの狂いが同社の将来の業績に影を落とすのではと懸念されていましたが会社側はそれほど心配してない様子でした。

JPモルガン

 JPモルガン(ティッカーシンボル:JPM)の第1四半期決算は予想をクリアしていたのですが純金利マージンが圧迫を受けていたので投資家から嫌気されました。

 EPSは予想$4.17に対し結果$4.44でした。売上高は予想416.9億ドルに対し結果419.3億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+9.3%でした。

 貸倒引当金は18.84億ドルでした。損金計上は20億ドル、リザーブリリースは1億ドルでした。

 純金利収入は前年同期比+11%の230.8億ドルでした。非金利収入は前年同期比+7%の188.5億ドルでした。

 純利益は134億ドルでした。前年同期は128億ドルでした。純金利イールドは2.71%でした。前年同期は2.63%でした。

 総融資残高は前年同期比+16%の1.31兆ドルでした。総預金残高は前年同期比+2%の2.43兆ドルでした。

 ローン・ツー・デポジット・レシオは54%でした。前年同期は47%でした。オーバーヘッド・レシオは54%でした。前年同期は52%でした。

 消費者&コミュニティー・バンキング部門売上高は前年同期比+7%の176.5億ドルでした。利益は前年同期比マイナス8%の48.3億ドルでした。クレジットカード・ローン残高は前年同期比+15%の2,068.2億ドルでした。

 前年同期は1,800.7億ドルでした。カード・ネット・チャージオフ比率は3.32%でした。前年同期は2.07%でした。カード30日支払遅延比率は2.23%でした。前年同期は1.68%でした。90日支払遅延比率は1.16%でした。前年同期は0.83%でした。

 コーポレート投資銀行部門売上高は136.3億ドルでした。これは前年同期比±0%でした。利益は前年同期比+8%の47.5億ドルでした。うち投資銀行売上高は前年同期比+27%の19.86億ドルでした。M&A(買収や合併)フィーは前年同期比マイナス21%の5.98億ドル、株式引受けフィーは前年同期比+51%の3.55億ドル、債券引受けフィーは前年同期+58%の10.5億ドルでした。

 市場証券サービス部門売上高は前年同期比マイナス2%の91.5億ドルでした。債券部売上高は前年同期比マイナス7%の53億ドル、株式部売上高は前年同期比±0%の26.9億ドルでした。

 ROE(自己資本利益率)は17%でした。前年同期は18%でした。ROA(総資産利益率)は1.36%でした。前年同期は1.38%でした。ROTCE(有形自己資本利益率)は21%でした。前年同期は23%でした。普通株式等Tier1比率(CET1 capital ratio)は15.0%でした。前年同期は13.8%でした。一株当たり有形簿価は$88.43でした。前年同期は$76.69でした。

 来期以降の純金利マージンは今の水準で安定するというコメントでした。従って今期それが悪かったことはあまり気にする必要は無いと思います。

バンクオブアメリカ

 バンクオブアメリカ(ティッカーシンボル:BAC)の第1四半期決算は予想をクリアしました。

 EPSは予想76セントに対し結果83セントでした。売上高は予想254.9億ドルに対し結果258.2億ドルでした。売上高成長率は前年同期比マイナス1.7%でした。

 総融資額は1.036兆ドルでした。前年同期は1.034兆ドルでした。総預金額は1.946兆ドルでした。前年同期は1.91兆ドルでした。

 純金利収入は142億ドルでした。前年同期は146億ドルでした。純金利イールドは1.99%でした。前年同期は2.20%でした。

 非金利収入は117.9億ドルでした。前年同期は118.1億ドルでした。

 損金計上は8.99億ドルでした。前年同期は5.01億ドルでした。貸倒引当金は13.2億ドルでした。前年同期は9.31億ドルでした。

 クレジットカード貸付残高は998.2億ドルでした。前年同期は917.8億ドルでした。クレカネットチャージオフ比率は3.62%でした。前年同期は2.21%でした。30日の支払遅延は2.38%でした。前年同期は1.81%でした。90日の支払遅延は1.32%でした。前年同期は0.90%でした。

 投資銀行売上高は8.5億ドルでした。前年同期は6.68億ドルでした。M&Aフィーは3.17億ドルでした。前年同期は3,163億ドルでした。債券引き受けフィーは3.83億ドルでした。前年同期は2.90億ドルでした。株式引き受けフィーは1.50億ドルでした。前年同期は6,500万ドルでした。グローバルマーケッツのトレーディング収入は50.9億ドルでした。

 前年同期は50.7億ドルでした。債券部門売上高は32.3億ドルでした。前年同期は34.4億ドルでした。株式部門売上高は18.6億ドルでした。前年同期は16.7億ドルでした。エフィシェンシーレシオは66.77%でした。前年同期は61.84%でした。ROEは9.35%でした。前年同期は12.48%でした。ROAは0.83%でした。前年同期は1.07%でした。ROTCEは12.73%でした。

 前年同期は17.38%でした。普通株式等Tier1比率は11.8%でした。前年同期は11.4%でした。一株当たり有形簿価は$24.79でした。前年同期は$22.78でした。

ウェルズファーゴ

 ウェルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)の第1四半期決算も良かったです。ただし投資家は預金金利の急上昇を嫌気しています。

 EPSは予想$1.06に対し結果$1.20でした。売上高は予想201.9億ドルに対し結果208.6億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+0.6%でした。

 貸倒引当金は前年同期比マイナス22%の9.38億ドルでした。前年同期は12.1億ドルでした。損金計上は11.6億ドルでした。前年同期は5.6億ドルでした。

 総融資残高は9,281億ドルでした。前年同期は9,486億ドルでした。クレカ融資残高は前年同期比+15%の464.1億ドルでした。前年同期は405億ドルでした。総預金残高は1.34兆ドルでした。前年同期は1.36兆ドルでした。

 純金利収入は前年同期比マイナス8%の122.2億ドルでした。純金利マージンは2.81%でした。前年同期は3.20%でした。平均預金コストは1.74%でした。前年同期は0.83%でした。この部分が投資家から嫌気された箇所です。

 非金利収入は前年同期比+7%の12.3億ドルでした。

 エフィエンシーレシオは69%でした。前年同期は66%でした。ROEは10.5%でした。前年同期は11.7%でした。ROAは0.97%でした。前年同期は1.09%でした。ROTCEは12.3%でした。前年同期は14.0%でした。普通株式等Tier1比率は11.2%でした。前年同期は10.8%でした。一株当たり有形簿価は$39.17でした。前年同期は$35.87でした。