3月決算企業の株を持っていたら配当金は?

 もうすぐ3月末となります。日本の上場会社は3月決算が圧倒的多数ですから、読者の皆さんも、3月決算の銘柄の株をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

 では、3月決算の銘柄の株を持っている場合、配当金や株主優待はいつ、どのようにして受け取ることができるのでしょうか。

 特に初心者の方は「何か手続きをしないともらえないの?」と不安に思っている方もいるかもしれませんので、本コラムで解説していきます。

 結論から申し上げますと、3月31日の基準日の時点で株主であれば、配当金や株主優待は自動的に受け取ることができます。

 ただし、3月31日が基準日ではありますが、上場株式は買ってから2営業日後に株主として登録がされます。

 2024年であれば、3月31日は日曜日で、3月の最後の平日は3月29日です。その2日前である3月27日までに株を買い、保有していれば3月末時点で株主名簿に株主として記載がされます。
 

2024年であれば「3月27日に株を保有している株主」が配当金を受け取れる

 極端な話、3月27日に株を買い、3月28日や29日にその株を売却しても、いったん3月29日付で株主となり、株主から外れるのは2営業日後である4月に入ってからなので「3月31日の基準日」の時点では株主として登録されています。

 ですからこのケースでも配当金や株主優待を受け取ることができます。

 2024年でいえば3月27日のことを「権利付き最終日」、3月28日のことを「権利落ち日」といいます。

 3月27日の時点で株主であれば、3月決算銘柄の配当金や株主優待を受け取れることになるのです。

 では、3月27日の時点で株主であれば、3月31日や4月1日に配当金を受け取れるかといえば、そうではありません。

 株主へ支払う配当金は、取締役会もしくは株主総会での決議を経てからとなっているからです。
 

株主に配当金が支払われるのはいつ?

 3月決算企業の場合、6月下旬に株主総会が開催されるのが一般的です。例えば6月27日に株主総会が開催されて配当金につき決議がされ、翌28日に配当金の支払いが開始される、といったスケジュールです。

 企業によっては配当金の支払いを株主総会ではなく取締役会で決議するところもあります。このケースでは、配当金を受け取れる時期が5月下旬~6月上旬ごろと早くなります。

 下記の通り、上場企業が開示する決算短信の1ページ目の上部に、「配当支払開始予定日」というものが載っていますから、それを見て確認するとよいでしょう。

 株主優待についても、配当金の支払いと同じタイミング、あるいはそれより早く受け取れることが多いようです。

例:トヨタ自動車2023年3月期決算短信

 これらについては株主の側で何かアクションを起こす必要はなく、会社の方が手続きをしてくれますので、のんびり待っていればOKです。

 株主優待品については登録してある住所へ届きますが、配当金についてはご自身で選択した受領方式により、自宅へ届いた配当金領収書を郵便局に持っていって配当金を受け取ったり、銀行口座に振り込まれたり、証券口座に振り込まれたりします。
 

配当金の額は3月末時点では確定していない

 3月末の時点で、3月末現在の株主に1株当たりどれだけの配当金が支払われるかは、企業側も決算短信などで発表されていますし、会社四季報にも記載があります。しかしこれらはあくまでも「予定」である点に注意してください。

 よくあるケースとして、決算を締めてみたら予想外に業績が悪化していたので、3月末の株主に支払う配当金を当初予定から減額することがあります。逆に好決算だったので、配当金を当初予定から増額するケースもあります。

 3月終わりの権利落ち日には、配当金の分だけ理論上株価が下がることになりますが、ここで理論上下がるのはあくまでも3月末時点での「予定額」です。

 例えば1株300円の配当が予定されている場合、権利落ち日に300円分株価が下がるのですが、決算の内容が悪く、実際の配当金が1株当たり100円になったとしても、差額の200円分の株価が元に戻るということにはなりません。逆に配当金減額を嫌気して株価がさらに下がってしまうことになると思われます。

 ただ、このあたりは正直申し上げて個人投資家が事前に分かるものではないので、そのようなケースに遭遇した場合は「運が悪かった」と諦めるほかありません。
 

信用取引で保有している株はどうなるの?

 読者の皆さまの中には、信用取引で保有している株をお持ちの方も少なくないと思いますが、信用取引の場合は配当金や株主優待の扱いが異なってきます。

 大前提として、信用取引で保有している株は、株を「借りている」だけであって、株主ではないという点を理解する必要があります。

 それを踏まえますと、まず配当金については、株主ではないので配当金そのものは受け取れません。その代わり、「配当落調整額」というものを受け取ることができます。

 配当落調整額は、信用取引の買い方と売り方との間で調整する金額ですが、買い方が受け取れる金額は配当金全額ではなく、「(配当金100%)-(15.315%)= 84.685%」となります。

 ですから、信用取引の場合は配当金の全額を受け取ることはできない点は知っておくべきです。

 この配当落調整額を受け取れるのは、株主に配当金が支払われるタイミングと同じです。

 また、株主ではありませんから株主優待を受け取ることもできません。これらの点が、株そのものを保有して株主となっている場合とは異なるところです。
 

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