株式投資でよくある悩み

 株式投資には悩みがつきものです。その中の一つに、「保有している株をいつ売ればよいか」「そもそも売るべきかどうか」というものがあります。

 株の売り時については本コラムでも何度か取り上げていますが、結論から申し上げますと株の売り時を見計らうのは極めて難しいです。

 将来の株価の動きというのは読めませんし、いつ天井を付けるかも予測はできません。ですから、自分自身でベストなタイミングで売ったと思っても、実際に売った後株価が下がってベストタイミングとなることもありますし、売った後株価がさらに大きく上がって悔しい思いをすることも多々あります。

 逆に、まだまだ上がると思って保有を続けていたら、大きく反落して利益を削ってしまうというケースも日常茶飯事です。
 

保有株を売却するときのポイントとは?

 そこで、保有株を売るときは、一度に全部売るのではなく、複数回に分けて売るというのが有効になります。

 筆者自身、保有株については株価が25日移動平均線を割り込んだら売却することを原則のルールとしていますが、株価が非常に強い動きで上昇を続け、25日移動平均線を大きく上方に乖離(かいり)する状況にあるときは、上昇途中で少しずつ売却するようにしています。

 例えば株価が急上昇して25日移動平均線からの乖離率が50%に達したケースで考えてみましょう。現在の株価が3,000円、25日移動平均線が2,000円にあります。

 このとき、100株しか保有していないと「売るか保有するか」の2択しかありません。さすがにそろそろ天井だろう、と100株を売却したら、さらに株価が上昇して5,000円、1万円に達する可能性もあります。

 一方、さらに株価が上がると思って保有を継続したら、株価が急落して2,000円まで下がり、25日移動平均線を下回り大きく利益を減らした形で売却せざるを得ない可能性もあります。

 つまり、今の3,000円の株価で売るべきなのか、保有するべきなのかが分からない中、売るか保有するかを決断しなければならないのです。

 でも、もしこの株を200株持っていたならば、3,000円の株価がついている現段階で100株だけ売って、残り100株を保有継続するという選択肢が生じます。

 すると、100株売却後株価が大きく上昇しても、残り100株は保有しているので上昇の恩恵を受けることができますし、100株売却後株価が大きく下落しても、100株は売却できているのである程度の利益は確保できるのです。どちらに転んでも、ベストではないですがある程度納得のいく結果を得ることができます。
 

「1万円の株を100株」より「1,000円の株を1,000株」の方がやりやすい

 上記のことを踏まえて考えると、同じ100万円を一つの銘柄に投資するとき、「株価1万円の株を100株」と「株価1,000円の株を1,000株」投資するのでは、どちらが投資しやすいでしょうか。言うまでもなく後者です。

 200株投資するだけでも、上記のように「半分の100株を売る」という選択ができる分かなりやりやすくなるのですが、1,000株あればさらにさまざまなバリュエーションが可能です。

 例えば上の例でいえば、株価3,000円で1,000株のうち300株を売り、5,000円になったらさらに200株を売却、7,000円になったらさらに200株を売却し、残り300株についてはすでに投資元本は回収して実現益も確保できたので長期的に保有する、といったことも可能となります。

 特に長期間保有しようと思っていた株が短期間で急騰した場合などに有効な戦略となります。
 

もちろん100株だけ投資するのもアリ

 ご自身の投資資金からみて、株価が高いので100株しか買えない銘柄ではあるが業績や将来性を踏まえるとぜひ買っておきたい、というものもあるでしょう。

 その場合は売るときに多少苦労することを覚悟の上であれば投資して全く問題ありません。

 ただ、筆者の経験からすると、やはり同一の銘柄を200株以上保有している方が圧倒的にやりやすいです。「売るべきか、保有継続すべきか」という判断に迷うことはかなり頻繁にあります。そんなとき「とりあえず半分売っておこう」という選択肢があるととても助かります。

 また、株式投資を始めたばかりで、投資資金がかなり少ない方などは、そもそも一つの銘柄に100株しか投資できない状況かもしれません。それは資金的な制約から仕方ないわけですが、将来投資資金が増えて、一つの銘柄に複数単位(200株以上)投資できるようになったらぜひ実践してみてください。売却しようか悩んだ時にかなりやりやすくなるはずです。
 

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