2024年春闘の見通しは?

 さて、2024年の春闘ですが、(1)好調な企業業績、(2)人手不足の深刻化、(3)高インフレへの配慮、(4)官民での賃上げ機運の高まり、などを背景に、15日に発表される第1回回答集計では、賃上げ率が4%の大台に乗ってくるとみています(図表2)。

<図表2 春闘賃上げ率の推移>

(注)第1回回答集計結果の2024年は見通し。
(出所)厚生労働省、中央労働委員会、連合、楽天証券経済研究所作成

 第1回回答集計結果の賃上げ率が4%程度だとすると、最終集計結果はそれから若干下振れて3.9%程度になると予想されます。従って、厚労省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」の2024年の賃上げ率も3.9%程度になると想定され、そうなれば1993年の3.89%以来の高さということになります。

 こうした高い賃上げ率が、所得から支出への好循環を促すという点で日本経済にとって好ましいことは言うまでもありませんが、日銀の目指す消費者物価上昇率2%を達成するのに十分かどうかは、慎重に検討する必要があります。後述するように、重要なのはベースアップ(ベア)です。以下では、ベアがどうなるかを考えてみます。