日経平均株価がバブル時高値まであと100円弱まで上昇

 2024年に入ってからの日本株の勢いは物すごいものがあります。2月16日には日経平均株価が3万8,865円06銭まで上昇、1989年12月29日につけたバブル時の高値3万8,957円44銭まであとわずか100円弱のところまで肉薄しました。 

 株価が上昇することは素直にうれしいのですが、ここまで急ピッチに上昇すると持ち株は売った方が良いのか、持ち続けた方が良いのか…と悩んでしまう個人投資家の方も多いのではないでしょうか。

 実は売り時にはこれ!という100%に近い正解はありません。どの方法も、裏目に出ることは多々あるので、結局はご自身が納得できるルールを作るほかありません。

 今回のコラムでは、筆者が実際に行っている売り時のルールについてご紹介しますので、少しでもご参考にしていただければと思います。

基本はできるだけ利益を伸ばすことを考える

 特に長期間続く上昇相場では、「できるだけ利益を伸ばす」ことを考えるべきだと思います。ですから、ちょっとした上昇で売ってしまうことを防ぐ必要があります。

 そのために筆者が常日頃から活用しているのが「移動平均線」です。主に使用しているのは25日移動平均線ですが、ご自身がしっくりくる他の移動平均線を使ってもよいです。

 株価が上昇を続けているときは、移動平均線を割らずに株価が推移します。ですから、移動平均線を超えている限り保有を続けることにより、株価が上昇している間ずっと売らずに持ち続けることができるのです。

 先日も、25日移動平均線超え直後に買ったある銘柄が、移動平均線を割らずに上昇を続け、数カ月で株価が3倍に上昇したケースがありました。

 基本は移動平均線を超えている限りは保有を続け、明確に割り込んだら売却、というのが極めてシンプルで分かりやすいのではないかと思います。

上場来高値更新の場合は原則として保有継続

 売り時の「タイミング」とは少しずれますが、株価が上場来高値を更新した場合は、筆者であれば基本的に「売る」という選択肢はありません。

 著名な投資家の書籍などでは、逆に高値更新したら「買い」とされていますし、少なくとも上場来高値更新は売却のタイミングではないと考えます。

 その理由として「高値更新による新たな上昇ステージへ突入した」「需給関係が極めて良好である」の2つが挙げられます。

 株には、「トレンド」と呼ばれる、いつまで続くかは分からないが、いったん形成されれば長期間継続することが多い株価の方向性があります。

 過去の高値というのは、節目として意識されやすく、そこを超えることができずに天井をつけてしまうことも珍しくありません。

 しかし、その節目である過去の高値を突破して株価が上昇しているということは、強い買い手の存在により節目を跳ね飛ばし、新たな上昇のトレンドを形成し始めた、と考えるべきなのです。

 また、上場来高値更新の状態というのは、含み損を抱えている買い手が誰もいないことを表します。

 通常、株価が上昇するには、以前高値でつかんでしまった投資家などからの多数の売り注文をこなして上昇する必要があります。でも上場来高値を更新している場合は、全員が含み益の状態なので、売りたい投資家が明らかに少ないのです。

 実際、上場来高値を更新した後、株価がスルスルと大きな上昇を続けていくケースはよくみられます。

株価が急騰した場合は?

 ただし、株価が短期間に急騰したような場合は、たとえ上場来高値更新が続いているときであっても、筆者は保有株の一部を利食いすることが多いです。

 例えば25日移動平均線からの乖離(かいり)率が40~50%程度まで達したときです。

 もし株価の上昇が順調に続いていて、かつ25日移動平均線からの乖離率も10%程度であれば、その後株価が天井を付けて下落に転じたとしても、高値から10%程度下がったところで移動平均線を割り込むため、それほど大きく下がらないうちに売却ができます。

 しかし、25日移動平均線からの乖離率が40%に達した状態で天井を付けて急落した場合、高値から40%下がったところでようやく25日移動平均線を割り込んで売却、ということになり、これでは含み益の多くが吹き飛んでしまいます。

 したがって、25日移動平均線からの乖離率がかなり大きくなったときは、株価が上昇トレンドの途中であっても保有株の一部を利食い売りすることはよくあります。

 ここで全部ではなく一部にとどめるのは、株価上昇がさらに続くこともあるからです。もし株価上昇が続かなければ、5日移動平均線割れで売却したりしています。

移動平均線割れで売却することの功罪

 移動平均線割れで売却した後、株価が程なく反発して再び上昇トレンドに復帰することも良くあります。

 そのため、移動平均線割れで売却せず、もう少し粘ってみるという方法もあり得ます。

 でも、粘ったおかげでうまく行くケースもある一方、粘ったことにより利益が減ってしまうケースもあり、ベストな方法というのは一概には決められません。

 例えば移動平均線を2%下回ったら売却というルールでやっていたら、売却後すぐ反発することが多いので、移動平均線を10%下回ったら売却というルールに変更したら、移動平均線から10%下回って売却した直後に反発した・・・ということも大いに起こりえます。

 株価がどこまで下がったら売却する、というルールも、うまく行くことも行かないこともあります。なぜなら株価がどこまで下がるかは分からないからです。

 ですから「最低限大きな損をしない、塩漬け株をつくらない」ということを大前提に、ご自身で納得できるルールを決めるようにしてください。

 利益が全部飛んでしまっても良いなら、買い値を上回っている限りは保有継続、というようにすれば長期間にわたり株を保有し続け、大きな利益を得られる可能性もあります。

 筆者自身は原則として移動平均線割れでいったんは売却しますが、再度移動平均線を超えたら買い直すことにより、その銘柄が天井に達するまで付き合うようにしています。

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