日経平均株価がついに3万7,000円を突破!

 2024年に入ってから、日本株の勢いが続いています。2月9日には、日経平均株価が3万7,287円20銭まで上昇し、バブル後高値を更新、バブル時の高値までもあと少しという水準まで達しています。

 筆者は個別株だけでなく、日経平均先物などにも投資していますが、日経平均株価が上昇すれば日経平均先物も上昇しますので、順調な成果をあげることができています。

 しかし、日経平均株価が3万7,000円を突破している一方で、マーケット全体には明らかな変調が生じていることに皆さんはお気づきでしょうか。

日経平均株価が高値更新の一方で…

 筆者は最近、上場している銘柄のうち、25日移動平均線を超えている銘柄の数と25日移動平均線を割り込んでいる銘柄の数を記録するようにしています。

 25日移動平均線を超えている銘柄数が多ければ多いほど、マーケット全体は順調に上昇していることが分かります。逆に、25日移動平均線を割り込んでいる銘柄数が多くなると、マーケット全体で見ると強気から弱気に傾きつつあるという判断ができます。

 実は上場銘柄全体で見て25日移動平均線を超えている銘柄数が最も多かったのは、直近では1月29日です。この時、25日移動平均線超えの銘柄はおよそ3,400ありました。

 日経平均株価はその後上昇して2月9日に3万7,000円超えを果たしたわけですが、2月9日時点での25日移動平均線超え銘柄の数はおよそ2,200まで減少しています。

 つまり、1月29日と2月9日を比べると、日経平均株価は大きく上昇している一方、個別銘柄のうち約1,200もの銘柄が、25日移動平均線を割り込んでいるのです。

日経平均株価の動きとマーケット全体の動きはだいぶ異なる

 東証プライム市場の上場銘柄に限ってみれば、1月29日は1,350の銘柄が25日移動平均線を超えていましたが、2月9日時点では770まで減少、25日移動平均線を割り込む銘柄の方が多くなってしまっています。

 日経平均株価が高値更新する一方で、個別銘柄の多くは下落しているという事実に私たち個人投資家はいち早く気づく必要があったのです。

 このように、マーケット全体が先にピークをつけ、その後日経平均株価が高値を更新するというのは結構あります。昨年5~6月の上昇局面も、日経平均株価は6月中旬に高値をつけた一方で、マーケット全体は5月にピークアウトしていました。6月ごろは、日経平均株価が上昇しても自分の持ち株は逆に下がる、という現象が生じていたのを今でもよく覚えています。

マーケット全体のピークを計ることができる指標とは

 これ以外にも、マーケット全体のピークを計ることができるものとして、「25日騰落レシオ」があります。これは、過去25営業日の値下がり銘柄数合計を分母、値上がり銘柄数合計を分子とし、パーセント表示でマーケットの状況を表したものです。

 25日騰落レシオの足元のピークは1月31日の137.9%です。そこから騰落レシオは下落し、2月9日には104.9%まで低下しています。

 騰落レシオが低下しているということは、値上がり銘柄より値下がり銘柄の方が多いことを表しています。従って、特に2月に入ってからの株価上昇は、日経平均株価主導のもので、個別銘柄にはその上昇に全くついていけず、逆に値下がりしてしまったものの方が多いというのが実態です。

日経平均株価は強いがマーケット全体が軟調なときはどうすればよい?

 では、このように日経平均株価が強い動きである一方、個別株は値下がりするものが多いという状況で、どう対応すればよいのでしょうか。

 最もやってはいけないのが、「日経平均株価が順調に上昇しているから、個別株もそのまま全て持ち続ければよい」という考え方です。

 日経平均株価が上昇しても個別銘柄は値下がりすることもある、というのは上で説明した通りであり、個別株と日経平均株価の動きは連動しないことが少なくないのです。

 ですから、筆者であれば、日経平均株価がどんなに上昇しようが、保有株が25日移動平均線割れになったらいったん売却するようにしています。

 ポイントは、このルールを株価が下がる前に決めておき、かつルール通り実行することです。

 日経平均株価が明確に下落して下降トレンドになってから、慌てて保有株を売却しようとしても、その時はかなり株価が下落してしまっている可能性が高いからです。

 なお、保有株が上昇トレンドを継続しているような場合は、売却する必要性はありませんから、保有継続してできるだけ利益を伸ばすのがよいでしょう。

 25日移動平均線超え・25日移動平均線割れ銘柄数や、25日騰落レシオの推移を追いかけていれば、マーケットの変化の兆候には気づけます。

 それと同時並行して、保有株が上昇トレンドから下降トレンドに転じていないか(例えば25日移動平均線を割り込んでいるかどうか)を日々確認し、下降トレンドに転じた場合はいったん保有株を売却して様子見することをお勧めします。これが、大きな含み損を抱えた塩漬け株の発生を回避することにつながります。

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