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著者の足立 武志が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
新NISAの情報が多すぎて混乱している方へ、頭を整理する方法

とにかく多すぎる新NISAの情報

 いよいよ2024年より、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートしました。生涯非課税枠1,800万円、年間投資限度額がつみたて投資枠・成長投資枠込みで360万円と今までに比べて大幅にパワーアップしたこともあり、多くの個人投資家が注目しています。

 1月9日には、全世界型のインデックスファンドへの資金流入額が1日で1,000億円を超えたというニュースもあり、個人投資家の間で「新NISA熱」が高まっていることを感じます。

 その一方で、これだけ個人投資家の間で注目されている制度なので、さまざまな媒体やネット、SNS、動画サイトなどで、いろいろな人がいろいろなことを発信しています。

 正直、特に初心者の方は、みんな違うことを言っていて、一体どうすればよいのかと困っているのではないでしょうか。

 そこで今回は、新NISAにまつわる情報が多すぎて混乱している個人投資家の皆さんへ、頭を整理する方法をお伝えしたいと思います。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の情報に分ける

 新NISAに関する情報を見ると、つみたて投資に関する話と個別銘柄への投資に関する話の両方があることが分かります。ですから、まずはどちらについての情報なのかを見極めるようにしてください。

 つみたて投資の話は、「インデックスファンドが良いかアクティブファンドが良いか」とか、「S&P500種指数連動型が良いか全世界型が良いか」といった、どの投資信託を選ぶべきかという話が中心になっているはずです。

 個別銘柄への投資に関する話は、「新NISAでは高配当株を買え!」「新NISAで買っておきたい銘柄はコレだ!」とか「この株を買っておけば間違いない!」といったものです。

 ですから、ご自身が新NISAでつみたて投資をしたいのでどうすればよいか知りたいのであれば、つみたて投資について発信された情報を、個別銘柄投資についてどうすればよいか知りたいのであれば個別銘柄投資に関する情報を参考にするようにしてください。

つみたて投資と個別株投資の割合は自分で決める

 また、1,800万円の生涯投資枠を「つみたて投資」と「個別株投資(つみたて投資枠では買えない投資信託含む)」にどのように割り振ればよいかについても、さまざまな見解が示されていて、いったいどうすればいいの?と思われる方が多いと思います。

 正直、これについてはご自身で決めるほかないと思います。つみたて投資派の人は1,800万円全てつみたて投資に充てるべきだ、と言うでしょうし、逆に個別株投資派の人の中には、個別株投資が可能な1,200万円の成長投資枠だけ新NISAを活用すべきで、つみたて投資しかできない600万円分は使わなくてよい、と言っている人も多いです。

 でも、人それぞれ投資スタイル、投資スタンスが異なりますのでどれが正解、というわけではないのです。つみたて投資と個別株投資の割合はご自身で決める必要があるとお考えください。

 これは筆者個人の考え方なので、皆さんに当てはまるかどうかは分かりませんが、NISAは基本的に長期保有が前提で作られている制度ですから、頻繁に買ったり売ったりすることには向いていません。

 筆者は25日移動平均線超えで買い、25日移動平均線割れで売りという方法をベースにしていますから、この方法だと売買の頻度がかなり高くなるので、正直言ってNISAには不向きなのです。

 ですから筆者自身は、個別株については通常の口座をメインに考え、新NISAはつみたて投資メイン、マーケットが暴落したときには残っている枠(成長投資枠)を使って追加で買う、というように今のところは考えています。

「S&P500対全世界型」「非課税枠を5年で埋めるべきか否か」の熱い論争

 例えば、「S&P500が良いのか全世界型が良いのか」「いやいや、日本人なのだからTOPIX(東証株価指数)連動型も入れておくべきだ」「これからはインドの人口が増えて経済も発展するからインド株のインデックスファンドが狙い目だ」といった、どのインデックスファンドに投資するべきか、という論争もそこかしこで起きています。

 でも、正直申し上げて、どのインデックスファンドに投資したら最も高いパフォーマンスを上げることができるかなど、誰も分かりません。

 ただ、例えばS&P500やTOPIX、インド株のように、特定の国に偏った投資構成になると、リスクは高くなると筆者としては感じます。大失敗を避けるという観点からすれば、世界各国を投資対象とするのが無難だと思います。

 もう1つ、1,800万円の非課税枠を最短の5年で埋めるのが良いのか、10年とか15年かけて埋めるのが良いのかという論争もよく見かけます。

 これは、理屈の上では「株価は長期的に見て右肩上がりになる」という前提のもとで考えれば、できるだけ早期に非課税枠を埋めておくのが最もリターンが高くなります。

 しかし、ここ15年ほどの米国株の上昇はバブル気味だから、今後遠くない将来に株価急落が十分起こりえる。だから慌てて非課税枠を埋めにいかず、急落が起こってから本格的に買いに行った方が良い、という意見もあります。

最後は「出たとこ勝負」なので割り切りも大切

 これも正直、いつ急落が起こるかなど分かりませんので割り切るほかないと思います。理論上の正解を信じるのであればできるだけ早く非課税枠を埋めることになるでしょうし、今後の急落が気になるのであれば、それまでは投資額を抑制し、急落後に投資額を増額させる、というプランになるでしょう。

 どちらが正解かなど、誰にも分かりませんから、ご自身が納得のいく方法を選択するようにしてください。

 個人的には、10年、20年と売らないつもりでつみたて投資をしたとしても、マーケット環境が悪化して株価の大きな下落が懸念されるなら一度売却し、嵐が過ぎた後に再びつみたてを再開する、というやり方もありかな、と思っています。

 年により非課税枠が定められていて、使わないと消滅してしまった旧NISAと違い、年間投資限度額の範囲内ならいつでも投資できますし、売却したら翌年には枠が復活するのが新NISAです。将来どうなるかをいくら考えても分かりませんので、今後のマーケット環境に応じて、柔軟に対応していけばよいのではないでしょうか。

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