とにかく楽観的な個人投資家

 筆者は今まで数多くの個人投資家の方とお話をする機会がありました。最近も筆者主催のセミナーにご参加いただいている個人投資家の方に、実際どのようにして株式投資を実践しているのかを聞いたりしています。

 そこで本当に強く感じるのが、「あまりにも楽観的すぎる個人投資家が多すぎる」ということなのです。

 確かに慎重すぎても利益を得る機会を逸してしまうことになりますからある程度は大胆に行動することも必要ではありますが、多くの個人投資家の方は、そうしたメリハリがついているわけでもなく、四六時中楽観的、という状況なのです。

 個人投資家として株式投資を25年続けている筆者としては、かなり危機感を抱いておりますので、今回はその点について詳しくお話したいと思います。

無意識のうちに楽観的な行動になっている

 個人投資家の方にヒアリングをしたとき、非常に多い答えが、「買った株の株価が下がっても持ち続けてしまう」というものでした。筆者の感触だと、7~8割方の個人投資家がそのように答えています。

 そこで筆者は、「なぜ持ち続けてしまうのですか?」と問いただすと、「持ち続けていればまた株価は上がるだろうと思って…」という答えが返ってきます。

 筆者からすれば、株価が下がった所有株を持ち続けて、さらに株価が下がって塩漬け株になってしまったらどうするの?と思ってしまうのですが、多くの個人投資家はそうは思っていないのです。

 さらに畳みかけるように、「持ち続けていれば株価が上がる根拠はあるのですか?」と聞くと、明確な回答ができないケースがほとんどです。

 つまり、特に明確な根拠はないにもかかわらず、持ち株の株価が下がったとき、「持ち続けていれば何とかなるだろう」という、楽観的な思い、そして行動をしてしまっているのが実態です。

 中には「業績が好調だから」とか「PER(株価収益率)などをみて明らかに割安だから」といった、ファンダメンタルを根拠にしている方もいますが、実際に株価が下がっている、つまり大口の投資家が売りに回っている可能性が高い状況では、どうしても説得力は弱くなってしまいます。

楽観的な行動を助長してしまう「上昇相場」

 困ったことに、この楽観的な行動を助長してしまうのが他でもない「上昇相場」なのです。上昇相場では、一時的に株価が下がっても、その後持ち直して再び上昇することが良く生じます。

 もし、「持ち株が下がったけれど、持ち続けていたら再び上昇して事なきを得た」ということを5回くらい連続で経験したならば、特に投資経験の短い個人投資家の方は「下がっても持ち続けていれば良いんだ!!」と勘違いしてしまうのではないでしょうか。

 筆者はいつも「上昇相場はミスを帳消しにしてくれる」と話していますが、まさに上昇相場では、リスクがある行為もプラスに転じさせてくれるのです。

下落相場になったらどうなってしまうのか

 では、これがひとたび下落相場になったらどうでしょうか。いつかは大きな下落相場が到来することになるでしょうが、そのとき、今までと同じように「持ち株の株価が下がったけど、今まで通り持ち続けていればきっと戻るはず」と楽観的に考えてしまう個人投資家は非常に多いと思います。

 しかし下落相場では、株を持ち続ければ持ち続けるほど株価が下がってしまいます。無論、好業績の銘柄などであれば、しばらく我慢して持ち続けていれば株価は戻るかもしれませんが、上昇相場なら数カ月で回復していた株価も、下げ相場では回復まで3年、5年かかることも珍しくありません。

 さらには、保有しているうちに業績が悪化してしまえば、買値まで10年たっても20年たっても戻らない、という事態にもなりかねないのです。

 上昇相場で事なきを得たとしても、下落相場に突入したとたん、塩漬け株だらけになってしまう恐れが高まります。

 まだ本格的な下落相場にならないうちに、株価が大きく下がっても塩漬け株をつくらないような対策、ルールを決めておくことを強くお勧めします。

 筆者であれば、移動平均線割れとなった持ち株は売却するというルールを徹底しています。もちろん、上昇相場では売却せずに持ち続けた方が利益を伸ばせるのですが、いつ来るか分からない下落相場に備え、利益の最大化ではなく損失の極小化を重視しています。

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