世界のGDPは2050年に250兆ドルに達する

──井上さんが世界経済に投資しようと最初に考えたのは、大学生のときなんですよね。

 僕はろくに新聞も読まないような学生でしたが、大学3年になり、就職活動の時事問題対策で読むようになったんです。で、あるとき「世界の人口が66億人に達した」という記事を目にしました。たしか2006年のことです。そして「人口の増加にともない、世界のGDPも、ものすごい勢いで伸びている」と書かれていたんです。当時、というか常にですが、日本は不況下にあり、世界の経済も停滞しているものだと思っていたので、それを知ってちょっと驚きました。

──2006年といえば、ライブドア・ショックの年ですね。景気が悪化していると思っても仕方がない頃ですよね。

 はい。日本は下り坂でも、世界は上り坂、と書かれていてびっくりしたんです。これからも世界の人口は増え続けるのだろうかと思い、いろいろ調べてみました。そしたら、「世界戦争が勃発したり、巨大な隕石が落ちたりしない限り、2050年には100億人に達する」と書かれていました。加えて、ある世界的な金融会社では、「2050年に全世界のGDPが250兆ドルになる」と試算していました。2006年当時、世界のGDPは47兆ドルでしたから、5倍に膨れあがるということになります。それで、世界経済の成長に連動する金融商品に投資すれば、お金を増やしていけるのではないかと考えたんです。

──ちなみに現在、世界人口は約77億人、世界のGDPは約80兆ドル(2017年末)ですから、今のところ、その予測通りになっていますね。

 はい。だからといって2050年にGDPが250兆ドルに達するとは限りません。しかし、今後も成長を続けるのは間違いないと思います。

──それにしても、普通の大学生だったら、世界人口が増えていると知っても、そんなことは考えないと思うのですが(笑)。

 就職活動を通して自分の将来を真剣に考えるようになったんです。大学は普通の成績だし、英語が話せるわけでもないし、仮にそこそこの会社に入れたとしても将来は知れているだろうと(笑)。会社員としてのサクセスストーリーを描けなかったんですよ。だとしたら、自分で何かやらなきゃいけないかな、と考えたわけです。

──その1つが、お金を貯めることだったんですね。

 僕は学生時代、家賃を別とすると月3万円で暮らしていて、節約生活が身についていたんです。だから、節約してお金を貯めることなら自分にもできるかなと考えていました。お金が貯められるのなら、その貯まったお金を銀行ではなく世界経済に預けてみようかな、と思ったんです。