「メード・イン・チャイナ時代」が終わりを告げる?

 今週は、トランプ米大統領がG20(28~29日)での米中首脳会談開催を示唆したことやFRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中央銀行)が金融緩和を示唆したことで日米株価は反発しました。市場は、大阪サミットで米国が対米中首脳が会談に至らず、中関税第4弾を発動する可能性を不安視していました。

 USTR(米通商代表部)がワシントンで主催した公聴会(17日)では、米国の関連メーカーや小売業、各種業界団体の過半が「関税は増税」(Tariff is Tax)と主張して対中関税に反対姿勢を示しています。大統領は「関税は中国が負担」と主張していますが、こうした不安を背景に米国の「経済政策不確実性指数」は昨年末以来の高水準に上昇。足元でピークアウトの兆しをみせています(図表1)。

 世界最大の自転車メーカーであるジャイアント・マニュファクチャリング社は、2018年9月にトランプ大統領が追加関税発動を警告した直後に対米輸出製品の生産拠点を中国から台湾に移し始めました。同社は「メード・イン・チャイナと世界的な供給という時代が終わった」と述べました。アップル社やインテル社も今週、米中貿易摩擦で世界のサプライチェーンを見直していることを表明。日本ではソニーが「状況に応じて製品の生産地を検討する」と表明しました。貿易摩擦の行方を巡る投資家の疑心暗鬼は来週も株価の重石となりそうです。

<図表1>米・経済不確実性指数が昨年末以来の水準に上昇

出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019/6/19)