「なんとなく投資」コラムもなんとなく連載50回!

「『なんとなく』から卒業!実践・資産形成術」が2011年7月22日に連載開始してから今回で50回を迎えました。たくさんのページビューをいただいており、多くの読者の愛読と掲載機会をいただいた楽天証券に感謝をいたします。

本連載の主たる読者がすでにネット証券で口座開設をしていることを踏まえ、筆者が他所で書くコラムよりやや本格的な内容に触れつつも、山崎元氏や他の執筆陣よりはやわらかめの難易度を設定し、いろいろな切り口から「なんとなく投資」の卒業に役立つヒントをご紹介してきました。

今回、50回分のコラムを振り返り、これは会心の作、という5つを選び、追加コメントをつけて紹介してみたいと思います。連載途中から本連載に気づいたため、未読のバックナンバーがある読者も多いと思いますが、全部を読み返すのは大変です。50回のコラム(正確には49回分ですが)から筆者が自選した5つ、いずれもオススメできる内容です。この機にまとめ読みしてみてください。

会心のコラムを5つ自選(コメントつき)

  1. 投資で「信者」に堕ちる危うさについて(2012年5月24日)

行動ファイナンス的には「バイアス(偏り)」の存在は投資判断を非合理的にするとされます。このコラムでは「信者」という例えを用いて投資にバイアスを作る注意点をあげています。なんとなく投資をしていて陥りやすいトラップです。

例えば、ファンドマネージャーや投信会社の人がどのような良心的メッセージを発しても、彼らはあなたの信託報酬により収益を得て発言しているという事実を思い返してみるべきです。

さらに、コラムニストのひとりとして私のいうことも疑ってかかりましょうと述べてみたり、「自分の判断は正しいもの/良いもの」と思うことも危険なバイアスだと指摘するなど、他所ではなかなかないコラムになっているかと思います。

過去の歴史を振り返ってみても、信者が自分の信仰について疑問を抱かなくなってしまうことはとても危険な状態であり、そのとき宗教は腐敗が始まるといってもいいでしょう。投資についても疑問を抱かない状態は避けてほしいと思います。

  1. 元本割れしたときのあなたの怒りを因数分解してみる(2012年10月18日)
  2. プロにお金を預けてマイナスで返ってきても怒らない方法(2012年7月26日)

元本割れしたとき、腹が立つのはもっともですし、精神衛生上は誰かに怒りを転嫁することもアリでしょう。しかし、いつまでも金融機関を悪者にしているばかりではいけません。マーケットが下がっている時期に書いたコラムを取り上げてみました。今の時期に読み返してみても、悪くないメッセージだと思います。

「金融機関」「マーケット」「自分自身」のどこがどれくらいパフォーマンスに影響を及ぼしたのか、マイナスの要因を冷静に考えられるくらいにならないと「なんとなく投資」の領域から脱することはできません。

こうしたアドバイスは金融機関に期待できませんし、適切にコメントしてくれるFPも少ないと思います。特にあなたから報酬を受ける立場にある助言者やあなたに金融商品を販売した業者が、「あなた自身の投資判断に大いに問題がありました」と本音で言うことは難しいという構図も考えれば、投資の理解は自分で深めていくことが必要です。

  1. 教育資金を運用で稼ぐのは御法度なのか?(2013年5月23日)
  2. 教育資金準備と老後資金準備をどう並行するか(2012年1月11日)

何度か取り上げているテーマのひとつに「子の教育資金準備と、自分の老後資金準備のコンフリクト(衝突)」があります。上記2つのコラムは同じテーマについて違うメッセージを伝えています。

2012年1月11のコラムでは、自分の老後資産形成に支障が出るなら、子の教育資金を親が全額負担することを断念する勇気も必要だとしています。厳しい決断ですが、子に老後の扶養は期待できない現代のマネープランにおいて、必要な選択だと考えています。

2013年5月23日のコラムでは、一般にリスク運用を避けるべきとされる教育資金準備においてリスク資産運用を行う場合の注意点をまとめました。ネット証券を使いこなす個人投資家はすでに教育資金準備においてリスク運用を活用できるステージにあると思います。古いセオリーは気にせずチャレンジしてほしいと思います。

住宅ローン返済と資産運用のリスクは同時に抱えてもいいか、というテーマも、個人が直面する難しい課題のひとつです。こちらも何度か取り上げていますので、興味のある方はバックナンバーをご覧ください。

  1. 企業年金・退職金に老後の資産形成はどれだけ頼れるか(2012年4月12日)
  2. 年金改正や消費税増は老後資金準備にどんな影響を与えるか(2012年2月8日)

筆者の専門は企業年金や確定拠出年金を通じた年金教育・投資教育であり、公的年金や企業年金をテーマにしたコラムも何度か書いています。この世界は適度な専門知識がないと、ピンボケな批判記事にしかならず、個人のマネープランに有用な情報になりません。

一方で、老後のための必要額を検討する場合に、「公的年金水準」「退職金や企業年金水準」が分からないと「自力で備える水準」を決められないことになります。老後のための資金準備において年金知識や企業年金の知識は重要です。

2012年4月12日のコラムのテーマは企業年金の「給付減額」の可能性を整理し、老後資産形成にどこまで織り込むか考えました。第15回では公的年金の改正や消費税増が、老後資産形成にどれほど影響するか考えています。あまり他のFPやコラムニストが書かない(書けない)テーマについて、一歩踏み込みつつ、分かりやすくまとめられたのではないかと思います。

  1. 時代の変化に伴う「投資の便利」とどうつきあうか(2012年8月9日)

最後にピックアップしたのは、投資のリテラシーのうち、ツールに振り回される懸念と対策についてのコラムです。楽天証券をはじめとしたネット証券の利便性向上はめざましく、かつてファミコントレードで大騒ぎしていた時代からすれば隔世の感があります。

2000年頃に筆者がオンライントレードのコラムを書いていた頃はISDN回線の品質や遅延がトレードに与える影響を解説したものですが、今やスマホとLTE回線により、何百倍の速度でモバイルトレードができるようになりました(それでも遅延が問題視されるのがおもしろい)。

しかし、いつの時代も文明の利器に振り回される人のほうが多く、しっかり手綱を掴んでつかいこなす技量が求められています。よくリテラシーといいますが、たいていのリテラシーは技術の進展に人間の意識がついてこないことから生じるように思います。

便利になることを止めることは困難です。そして、私たちは技術的進展についてキャッチアップすることができます。しっかり「投資の便利」をコントロールし、利益につなげる工夫をしてみてください。

今後もユニークな視点から「なんとなく投資」卒業をお手伝い

何か連載50回記念のコラムを書こうかと思っていて読み返していたのですが、「なんとなく投資」を脱却する本連載のねらいを改めて書くくらいなら、過去のコラムに自ら語ってもらうほうが良いかと思い、自選してみました。

今のところ本連載は書籍化の予定もないので(電子書籍化ならすぐできるか?)、他のバックナンバーにも興味がわきましたら、ぜひ振り返ってみてください。

他のFPやコラムニストが気がつかない視点を提供するのが、筆者のユニークポジションだと考えていますので、引き続き「なんとなく投資」を卒業するお手伝いをしていければと考えています。

連載100回目を目指していきますので、ご愛読のほどよろしくお願いします!