経済のプロ「楽天証券研究所」と、国民のリアル「街角の声」、運用のプロ「ファンドマネージャー」に2017年の振り返りや2018年の見通しを大特集!
2017年振り返り
2017年は世界株式も日本株式も「強気相場」
2017年は世界株式も日本株式も「強気相場」を示現しました。年初来リターン(騰落率)で振り返ると、世界株式がMSCI(N.Yが本拠の金融サービス企業)世界株式指数で+19.1%、米国株式がS&P500指数で+19.5%、日本株式がTOPIX(東証株価指数)で+18.1%となっています(12月15日現在)。それぞれ、過去の長期平均暦年リターンの2倍超の株価上昇率です。
世界株高の背景としては、グローバルグロース(米国を中心とした世界経済)の堅調と業績拡大期待、「適温相場」とも称される低インフレ・低金利環境の長期化、「第4次産業革命」との言葉に象徴されるIT(ハイテク)業界の活況などが挙げられるでしょう。2018年の株式相場を占うには、こうしたファンダメンタルズ面のプラス要因が続くのか否かを見極めていく必要があります。
一方、「ブラックスワン」(まさかの黒い白鳥)が姿を現し、短期的にせよ世界株式を下落に追い込む可能性も否定できません。リスク要因の所在をイメージし、目配りをしていくことは、冷静な投資判断を実践する上で大切だと考えています。
図表1:日米株式市場と「ブラックスワン指数」の推移
2018年予想
「I・C・B・M」に注意!-2018年の世界株式を揺り動かす不透明要因
本稿では、2018年に警戒したいリスク要因として「I・C・B・M」を取り上げます。もちろん、北朝鮮が発射するICBM(大陸間弾道ミサイル)も引き続き憂慮すべきですが、それと同等に警戒するべき潜在的なリスク要因を略語(下記)にしたものです。
(1)I=Impeachment Risk(トランプ大統領の弾劾リスク)
トランプ大統領は、ロシアゲート疑惑にセクハラ疑惑が重なり、「大統領に不適格」との評価が広まっています。2018年11月の中間選挙を控え、民主党はネガティブキャンペーンを強化していくとみられます。上下両院議会での「共和党優位」が崩れる事態となれば、「大統領弾劾」の機運が高まるなか、政治が「レイムダック(統治力欠如)」におちいる可能性があります。政治の混迷や停滞は、米国株式やドル相場の下押し圧力となりそうです。
(2)C=China Risk (中国の景気悪化リスク)
10月の共産党大会で政治基盤を固めた習近平国家主席は、「痛みをともなう構造改革」に乗り出してきた印象があります。12月に不動産市況の高騰抑制を目的に実施された金融引き締めは、景気減速懸念を広め、上海総合指数、香港ハンセン指数、非鉄金属市況(銅やニッケル)が軟調となりました。GDP規模で世界第2位を占める中国景気を巡る不透明感は、グローバルグロース期待に水を差す事態に発展していく懸念があり要注意です。
(3)B=Bitcoin Crush(ビットコイン急落に派生するリスク)
「ビットコイン」(仮想通貨)は、2017年に年初来18.5倍に上昇しました(平均相場/12月15日)。ブロックチェーン技術や決済時の利便性を織り込んでも、その高騰は投機的と言われています。12月に米国でビットコイン先物が上場されたのを機に、投機筋のプロであるヘッジファンドが売買に参入。将来、短期筋が売り浴びせを重ね、ビットコインが急落すると、損失の穴埋めを目的に株式など他リスク資産が連鎖的に売られる事態も憂慮されます。
(4)M=Middle East Risk(中東での地政学リスク)
トランプ大統領は12月6日、「イスラエルの首都はエルサレム」と初めて認定。米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転させる方針を発表しました。1995年に議会が決定した方針でしたが、中東和平を重視した歴代大統領は実行に移してきませんでした。今回の外交方針転換は、中東戦争の再発やイスラム系過激派による大規模テロを誘発する「暴走」と言われており、中東の地政学リスクと原油相場の高騰リスクが高まる危険がありそうです。
新年もファンダメンタルズが相場のトレンドを決める
国内株式は、2018年も世界株式の変動に影響を受ける外国人投資家の売買に揺らされる傾向に変化はないと思われます。本稿で取り上げた潜在的リスクが「警戒要因」で終わるのか、あるいはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と世界株式に多大な影響を与える事態となるのか。中長期の視野を重視した冷静な見極めと、投資姿勢が求められる新年となりそうです。
STOCKVOICE TV「東京マーケットワイド」で
「2018年の相場見通しと投資戦略」について香川が解説! 動画はコチラ
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