人気投資ブログ「エナフンさんの梨の木」を運営するエナフンさんこと奥山月仁さんのインタビュー、後編をお届けします。今回は最近の投資状況や今後について、加えてこれから投資を始める人へのアドバイスをお伺いしました。
3~5年後に2~3倍に上昇する銘柄を狙う
──前回、短期トレードをやめ、ピーター・リンチが提唱する中長期投資に専念することで、結果が出るようになったとおっしゃいました。中長期というのは具体的には何年くらいを指すのですか。
目安としては3~5年で、株価が2~3倍に上昇しそうな銘柄を狙います。リーマン・ショックの後や、アベノミクスで相場がよかった頃は10倍以上になった銘柄もけっこうありましたが、基本的には2~3倍になればよしとします。もっとも必ず3~5年で売却して利益を確定させるわけではなく、引き続き経営が順調であれば10年近く保有することもあります。
──思惑通りにいかない、つまり待てど暮らせど上がらないということもあるわけですよね。
もちろんあります。そういうときどうするかはケースバイケースですね。例えば業績は順調に推移しているのに、なぜか株価に反映されないという場合は、バリューは高まっているわけですから、当然のことながら絶対に売りません。むしろ資金に余裕があれば買い増しします。一方、外部環境の変化など想定外の出来事によって業績が悪化した場合などは、早めに見切りをつけて売却するケースもあります。
──ちなみに何銘柄くらい保有しているのですか。
少しだけ買ってこれからどうなるか様子を見ている銘柄などもあるので、すべてひっくるめるとけっこうな数になりますが、主力は5銘柄前後で、ここに集中投資しています。あまり分散しすぎると、そのなかのどれかが大ブレイクしても大きな利益にはならないので、5銘柄前後に集中投資するのがベストだと思っています。
──主力が5銘柄で平均3~5年保有するとしたら、頻繁に売り買いするわけではないでしょうから、普段あまり口座にアクセスしないというのも納得です。
そう、毎日アクセスする必要はないんです。だから、仕事が忙しくてしばらくログインしなくても、何の問題もありません。
──とはいえ、新しい銘柄探しは常に行っているわけですよね。
もちろんです。今、保有している5銘柄に不満がなくても、もっといい銘柄があるかもしれませんから。ただし、べつに義務的に行っているわけではなく、どこかにいい銘柄がないかな~と探しまわるのが好きなんです。誰も注目していない優良銘柄を見つけたりするとうれしいですし。それも株式投資の醍醐味のひとつだと思います。
2017年に1度撤退、しかし2018年春に「仕込み」再開
──昨年は長く続いたアベノミクス相場が下落に転じ、投資家にとっては厳しい1年でした。とくに10月以降は乱高下が激しく、大きな損失を出した人も少なくないようですが、エナフンさんはどうでしたか?
前回、リーマン・ショック前に保有していた株を売り払ったと話しましたが、実は2017年も1度市場から撤退したんです。そのとき持っていた主力銘柄が売りどきだったし、新たに買ってみたいと思う銘柄もほとんどなかった。業績だけ見ればいい会社はたくさんありましたが、どこも割高で手を出す気にはなれなかったんです。だったら無理に持つこともないかなと。
──すべて現金化したということですか。
まあ、そうです。一部は投資信託や債券にまわしましたが。
──個別株から足を洗おうと思ったわけではない?
もちろんです。また割安な株が出てきたら復活するつもりでした。実際、売却したあとも情報収集は欠かさなかったし。
──結局、いつ再開したのですか。
2018年の春過ぎくらいから少しずつ買い始めています。割安感のある銘柄がちらほらと見られるようになったので。
──その頃も相場は決してよかったわけではないですよね。
先ほどいったように、私のやり方は3~5年で2~3倍に上昇しそうな銘柄を狙うというものです。だから、割安な価格で買えるか、今後成長する可能性を秘めているかが大事なのであって、今現在の相場がどうかはあまり関係ないんです。
──なるほど。2018年の春過ぎに買った銘柄は、その後の相場の状況を考えると下がっている可能性も十分あるでしょうが、2019年の今の時点で下がるのはぜんぜんOKということですね。
ある意味、想定内ですし、そのうち上昇に転じるだろうと気長に構えています。
──投資初心者だと下落するとあたふたしてしまいそうですが。
大事なのは業績をきちんと見ておくことです。相場がどうなろうと業績が伸びていれば心配することはありません。そのことを肝に銘じてほしいですね。
──今は将来、値上がりする株を仕込む時期としては悪くない時期なのですね。
割安成長株がたくさん放置されているというわけではないですよ。でも、2017年あたりに比べたら見つけやすくなっています。
──エナフンさんが今現在、どんな銘柄に目をつけているのか知りたいところですが(笑)。
そこはご想像にお任せします(笑)。とにかく丹念に探してみることです。
『会社四季報』を読んで相場観を身につけよう
──これから投資を始めようと思っている人にアドバイスをお願いできますか。
もしまだ投資を始めるかどうか迷っているなら、今すぐ第一歩を踏み出してほしいですね。私のまわりを見ても会社勤めをしている人の多くは「自分がお金持ちになるなんて無理」とあきらめているように思えます。出世を志しても高給を保証されるトップへと上り詰めるのは容易なことではありませんし。
その点、株式投資というのは上手に立ち回りさえすれば、一般人でも大きな資産を築くことができます。しかもピーター・リンチが提唱する成長株の中長期投資という方法であれば、会社に勤めながらでも支障なく続けることができます。最初はほんの少額でいいので、自分がいいと思う銘柄を買ってみてほしいと思います。
──会社勤めで、資金に余裕がない人でも始められることは分かりました。一方で、多少は経営や財務の知識がないと難しいのではないかと考えている人も少なくないと思いますが、その点はどうお考えですか。
正直、ある程度の知識は必要です。ただ、今どきの会社員なら、決算書の中身を一通り理解できるくらいの知識を持っている人も多いと思うんです。それくらいの知識があれば問題なく始められると思います。
──まったく知識がない人は勉強したほうがいい?
それはそうですが、知識をつけてから株を始めようと考えると、何もしないまま時間だけが過ぎていく可能性もあるので、まずは口座を開いて買ってみることをすすめます。実際に始めると、いろいろ疑問が湧いてくるので、○○について調べてみよう、次は××について調べてみようなどと思うものです。それを繰り返していると自然と知識が身についていきます。
──オススメの勉強法はありますか。
勉強法というか、全上場企業の企業データが掲載されている『会社四季報』を読むことを勧めたいですね。『会社四季報』はその名の通り、年4回刊行されているのですが、私は今も毎回購入して、熟読します。上場している企業を網羅的に知ることができる、成長銘柄を見つけられるといったよさがありますが、それに加えて相場観が身につくというメリットがあります。例えば入門書のたぐいをみると「PERは10倍以下、PBRは1倍以下だと割安」などと書かれていますが、それはあくまでも基準に過ぎません。PERが10倍以下の銘柄がたくさんあったら、10倍では物足りないわけです。普段から『会社四季報』を見ていると相場の全体像が見えてくるわけです。
──たしかに初心者の場合、そうした「相場観」を身につけることが大事かもしれないですね。
『会社四季報』には3,700社以上掲載されていますから、最初は隅から隅まで読むのはしんどいかもしれません。まずは自分が働いている業種など馴染みのある会社や興味のある会社だけ読んでみるといいでしょう。
──それだけでもきちんと読めば相場を見る目が養えそうですね。では、今日はありがとうございました。
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