人気ブログランキングの株式長期投資部門で第1位を獲得したこともある投資ブログ「エナフンさんの梨の木」。その筆者であるエナフンさんこと奥山月仁さん(いずれもハンドルネーム)は、割安成長株投資で数億円を稼ぎ出したスゴ腕投資家の一人。投資のプロというわけではなく、会社に勤めながらの「兼業投資家」でもあります。そんなエナフンさんに、会社員として働きながら株式投資を行うときのコツや注意点を伺いました。
エナフンさんの投資ヒストリー
社会の出来事 | 年度 | エナフンさんの投資歴 |
---|---|---|
バブル経済スタート | 1986 | 高校2年生、父から30万円分の端株をもらい、投資開始 |
ブラックマンデー、NTT上場 | 1987 | 2年後、高校時代の投資が3倍に!投資の面白さに目覚める |
バブル経済ピーク | 1989 | 大学入学。証券理論を専攻 |
地下鉄サリン事件 、阪神淡路大震災、住専問題 | 1995 | 会社員になる(その後もたまに投資を続けるも、戦歴はぱっとせず) |
911米国同時多発テロ、中央省庁再編、エンロン破綻、日本初のREIT(J-REIT)が東証に上場 | 2001 | 結婚。「一緒にお金持ちになろう!」と節約生活開始! |
日韓W杯 | 2002 | ピーター・リンチの著書『株で勝つ!』に出会う! |
新潟県中越地震 | 2004 | 2,000万円貯まる |
リーマン・ショック | 2008 | かつや株購入 |
クライスラー、ゼネラルモーターズ破綻、ギリシャ・ショック、ドバイ・ショック | 2009 | ブログ公開。リーマン・ショックで-30万円の損失。映画「おくりびと」ヒットでティアが大化けし利益へ |
東日本大震災、米信用格付引き下げ | 2011 | 東日本大震災で資産マイナス10%の痛手 |
アベノミクス相場開始 | 2012 | かつや株が20倍に! |
英国のEU(欧州連合)離脱国民投票 | 2016 | 『日経マネー』で連載開始 |
トランプ氏が米大統領に就任、ビットコイン過熱化 | 2017 | いったん投資をお休み |
日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕、スルガ銀行の不適切融資発覚 | 2018 | 投資再開! |
株式投資を始めたのはなんと高校2年生!
──エナフンさんが株式投資を始められたのは高校2年のとき、と、著書『エナフン流株式投資術』(日経BP社)に書いてありました。最近は若いうちに投資を始める人も増えていますが、高2というのは驚きです。
高校2年のある日、父から「これまで親戚からいただいたお年玉や入学祝いなどが30万円ほどある。これを大学に入る前に渡すつもりだが、オレが持っている株式の一部、30
万円分を渡してもいい。どちらか好きなほうを選びなさい」と言われ、株を選びました。
──高校生なのに「株」を選んだのですか?
うちは父も祖父も株をやっていたので、子供の頃から株式投資に興味を持っていたんです。まだインターネットがない時代で、祖父が聴いていたラジオ短波の株式情報を、内容が分からないなりに一緒に聞いたりしていました。だから、自分もいつか株をやってみたいと思っていたんです。
──お父様から譲り受けた銘柄は?
後に自主廃業に追い込まれることになる山一證券です。当時はまだ景気がよかったので、父から譲り受けた後、株価はぐんぐん上昇し、結果3倍くらいまで上がったかな? それで一層、株式投資に関心を持つようになり、大学は経済学部を志望、入学後は証券理論のゼミに入りました。
──その頃からずっと株式投資を続けているのですか?
大学時代は遊びやギャンブルに夢中でしたし、お金もありませんでしたから、ほとんど投資はやっていません。父から譲り受けた山一証券の株も、遊ぶお金欲しさに売ってしまいましたし(笑)。ギャンブルで勝ったときに、よさそうな銘柄を買うこともありましたが、成績は勝ったり負けたりでした。大学を卒業して就職してからもたまに買いましたが、似たような感じでした。
ドケチ生活を徹底し、3年で2,000万円貯めた
──では、本格的に投資を始めたのはいつ頃ですか?
大きなきっかけは「結婚」です。独身時代は、毎月の給与をすべて使ってしまうような生活を送っていたのですが、家庭を持ったからには貯蓄もしなければならないだろうと。で、妻と話し合い「いっしょにお金持ちになろう!」と一致団結し、さしあたって1,000万円の貯蓄を目指しました。そうしたら3年後に1,000万円どころか2,000万円も貯まり、その一部を元手に本格的に投資を始めました。
──3年で2,000万円はスゴイ! お二人とも高収入だったのでしょうか?
いえ、私も妻も年収は世間並みだったと思いますよ。
──では、どうやって?
毎月の収入は決まっているわけですから、当然、支出を切り詰めるしかありません。要するに「ドケチ生活」を徹底したんです(笑)。
──たとえば?
買い物はチラシを比較して1円でも安い店に行くとか、閉店間際に半額のシールが貼られてから買うようにするとか、できることは何でもやりました。パックいっぱいに詰められた魚のアラを100円で買ってきて、何日かしのぐなんてこともありました。あと昼食も社員食堂で白飯とイワシ1品だけで済ませたり。
これを何日か続けていたら、ある先輩に「メザシの土光さんのようだな」とからかわれたのを覚えています。土光さんというのは、日本経済団体連合会第4代会長で、生涯、質素な生活を貫いたことで知られる故・土光敏夫氏のことです。そんなスゴい人になぞらえるのなら、ドケチも悪くないなと自分で納得したりしてました(笑)。
──好きだったギャンブルもやめた?
もちろんです。あと当時は地方勤務だったため車を持っていましたが、それも15年落ちの中古車を知人からタダで譲り受けて乗っていました。
──そういう暮らしを送っていて虚しくなるようなことはなかったですか。
それが案外、なかったんですよ。むしろドケチに徹することがだんだんと楽しくなってきました。何しろ、みるみるお金が貯まっていくわけです。通帳は数カ月に1度しか見ませんでしたが、見るといつも何百万円か増えているので、「よし、もうひと踏ん張りしよう!」とさらにやる気が湧いてきたりして。悲壮感はかけらもなかったですね。
──それにしてもその気になれば貯まるものなんですね。
絶対に貯めるんだという気持ちがあれば、誰でも貯められると思いますよ。私たちの場合は夫婦2人で働いていたし、会社から住宅費の補助などもあったため、2,000万円貯めることができましたが、ひとり暮らしの人でもある程度は貯められるはずです。本屋に行けば節約や倹約をテーマにした本がいくらでもあるし、ネットでもその手の記事は多いので、それらを参考に試してみるといいと思います。
まずは少額で練習し、100万円以上貯まったら勝負に打って出る
──投資に興味があるけど資金的に余裕がないので実行に移せない、という人は少なくないと思います。そういう人はまず、お金を貯める努力をすべきなんでしょうね。
それはもちろんです。ある程度まとまった資金がないと大きな勝負に出ることはできませんから。
──本格的に投資を始めようと思ったらどれくらい貯めたらいいでしょうか。
いちがいにはいえませんが、できれば100万円か200万円程度はほしいところですよね。ちなみに私自身は2,000万円のうち600万円を投資に充てました。
──1度投資のことは忘れて、100万円貯めることに専念したほうがいい?
いや、それは賛成できません。私としては今現在、10万円でも20万円でも手元にあるなら、すぐにでも証券会社に口座を開き、とりあえず何かしらの銘柄を買ってみることをすすめます。
──100万円貯めてからでなくてもいいんですか。
株式投資ってとにかく体験してみることが大事なんですよ。もちろん入門書などを読んで勉強することも重要です。でも、本を読むだけでは身につかない、やってみないとわからないことがたくさんあるわけです。だから、ほんの少額でもいいので、まずは実際に買ったり売ったりしてみることです。
──迷ってるなら、まず少額で練習してみる方がいいのですね。
そういうことです。100株単位で購入できるので、1株数百円の株なら数万円、1株1,000円の株でも10万円で買うことができます。もちろん、少額だと株価が上がってもたいした儲けにはならないでしょうが、万が一、下がっても大きな痛手にはなりません。だから、練習のつもりで気軽に買ってみてほしいですね。
たとえ少額でも実際に売り買いするとコツや感覚がわかってくるし、失敗したら失敗したで多くのことを学べます。いきなり100万円買って始めるよりはるかに勝率が上がるはずです。
──中編では、エナフンさんの投資術を元にどんな戦略、戦術を取るべきかについて伺います。
エナフンさんの著書をチェック!
中編 ピーター・リンチ流の中長期投資。大化け株のヒントは? を読む>>
後編 5銘柄集中投資で株価2~3倍狙い。株安相場の立ち回りテクは? を読む>>
≫≫「20倍高も!研究・調査・好奇心全開で急成長株をつかむ!割安×成長株投資術・エナフンさん」を読む
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