今回は、読者から質問の多い「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)・つみたてNISA」について解説します。
18.9%の方が、NISAもつみたてNISAもやっていない
昨年11月に実施した楽天DI(読者の皆さまへのアンケート調査)で「NISA・つみたてNISAの利用状況」を調査し、2,900人超の回答がありました。結果は、以下の通りです。
2018年にNISA、つみたてNISAをしましたか?
近年、非課税で資産形成できる制度がいろいろ増えています。利用可能な範囲でしっかり使いましょう。
利用できる節税手段があるのに使わないのは、とてももったいないことです。「よくわからない、面倒くさい」とほったらかしにすべきでありません。
将来、100万円の運用益(配当金や売却益)が得られるとします。通常の課税(分離課税・単純計算)では、20万3,150円(20.315%、復興特別所得税含む)が税金(所得税と住民税の合計)として差し引かれます。NISAなど非課税制度を使っていれば、100万円まるまる受け取れます。大きな差です。
NISAには、2014年から始まった従来型の「NISA」と、2018年から新たに始まった「つみたてNISA」の2種類があります。1年間にどちらか1つしかできません。両者の大きな違いは、非課税となる期間、年間上限額、そして、対象商品の3点です。概要は、以下の通りです。
NISA・つみたてNISA概要
2015~19年にNISAに毎年枠いっぱい投資してきたら580万円の非課税枠を得ている
NISAがスタートしたのは、2014年1月です。最初は1年間に上限100万円(非課税期間5年)の投資枠が得られました。2016年より、1年間に得られる枠が120万円(非課税期間5年)に増えました。2018年からは、つみたてNISAも始まりました。
NISAが始まった翌年、2015年から毎年ずっとNISAに上限額を投資してきた人は、2019年の分も含め、既に580万円の非課税投資枠を得ていることになります。
2015年~2019年NISAに上限投資した場合の累積投資額
NISAは、5年間有効な非課税投資枠です。2014年に得られた最初の非課税枠100万円は、すでに2018年末で終わっています。2015年以降、毎年、上限まで投資した場合、2019年1月時点で、NISAで580万円の非課税貯蓄枠を得ていることになります。
ただし、一つ注意すべきことがあります。NISAの非課税枠は、投資した金融商品を売却するとそこで消滅します。売却せずに保有し続けた場合に限り、5年間、売却益や配当金が非課税になるメリットが得られます。
これまでやって来なかった人は、今年から始めるべき
これまでNISAやつみたてNISAを一切やってこなかった方は、今年から始めるべきだと思います。世界的に株が下がった今は、始めるのに良いタイミングと判断しています。これまで投資してきた方は、継続して投資していくべきと考えます。
NISAに投資していく場合、現在の予定では2023年まで、毎年新規に120万円の非課税投資枠を得ることができます。今から始めても、新規にかなり大きな非課税枠を得ることができるわけです。
ただし、非課税枠は、以下の場合に消滅することを理解していてください。
【1】枠を得てから5年後
→2019年に得た枠は、2023年末で終了します。
【2】5年たつ前に買った金融商品を売却した場合
→売却益は非課税ですが、売却した部分は非課税枠が終了します。少しずつ売却していく場合は、売却した分だけ非課税枠が減少していくことになります。
【3】120万円まで投資せずに非課税投資枠を残した場合
→年内に投資しないで残った非課税枠は消滅します。次の年に引き継げません。たとえば、2019年に120万円のNISA非課税枠を得ても、2019年末(受渡ベース)までに70万円までしか投資しなかった場合、残りの50万円の非課税枠は消滅します。2020年に引き継ぐことはできません。
NISAとつみたてNISA、どちらを使ったら良いか
2019年の非課税投資枠として、NISAかつみたてNISA,どちらか1つしか選べません。NISAは、1年間に120万円まで非課税枠がありますが、5年しか有効ではありません。単純計算すると5年間で、120万円×5年=600万円の非課税枠を使えることになります。
一方、つみたてNISAでは、40万円しか非課税枠が得られないものの、20年間有効です。単純計算すると20年間で、40万円×20年=800万円の非課税枠を使えることになります。「どちらが有利」とは一概に言えません。1年ごとにNISAとつみたてNISAを交互に使うのも良いでしょう。夫婦で、1人がNISA、もう1人がつみたてNISA、などと使い分けても良いでしょう。
すでに、120万円の投資資金がある方は、非課税枠が大きいNISAを選んだ方が良いでしょう。年間40万円以内しか投資できず、毎月積み立てでコツコツ投資していきたい方は、つみたてNISAの方が良いと思います。NISAで120万円の非課税枠を取得しても、年内に投資せずに残した枠は消滅してしまいます。
投資対象の違いも考慮に入れる必要があります。つみたてNISAは投資信託だけになります。個別株に投資したい場合は、NISAを選ぶ必要があります。
つみたてNISAは、国の定めた条件を満たした投資信託しか買うことができません。ただし、手数料が高すぎず、インデックスファンドなど分散投資ができているファンドしか投資対象として指定されていません。手数料が高すぎる、不適切なリスクを取っている投信をついつい買ってしまう人は、つみたてNISAにすればその心配がありません。
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