今日は、10万円以上、30万円以下で買える「株主優待銘柄」をご紹介します。最高益を更新する予想の銘柄から、アナリストの眼で選びました。

 今日のレポートは、8月17日:株主優待10万円株。アナリストが「最高益」基準で選んだ!の続編です。10万円株レポートも併せて、お読みいただきたいと思います。

最高益更新予想の「30万円株」から「割安」優待銘柄を選別

 株主優待を紹介するレポートの多くは、「優待内容」の魅力にフォーカスしています。ただ、株式投資である以上、中長期の業績には気を配るべきです。構造不況の銘柄には手を出すべきではありません。

 8月22日時点で、株主優待を実施している10万円以上30万円以下で買える株は、643銘柄あります。その中から、現在、会社予想ベースで、営業利益・経常利益または純利益で最高益を更新する予定の企業を選別し、そこからアナリストの眼で、「割安」と考えられる8銘柄を選びました。

 なお、最小売買単位(100株)取得に10万~30万円かかるということは、株価が1,000円以上、3,000円以下ということです。

アナリストの眼で選んだ、最高益更新予想の「30万円優待株」8銘柄と優待内容

「単位:円]
コード 銘柄名 優待内容
へのリンク
22日
株価
最低
投資額
権利
確定月
2503 キリンHD 優待内容 2,557 255,700 12月
3048 ビックカメラ 優待内容 1,435 143,500 2月・8月
3086 J.フロント リテイリング 優待内容 1,608 160,800 2月
3087 ドトール・日レスHD 優待内容 2,001 200,100 2月
3258 ユニゾHD 優待内容 2,103 210,300 3月
3397 トリドールHD 優待内容 2,305 230,500 9月
8905 イオンモール 優待内容 1,834 183,400 2月
9433 KDDI 優待内容 2,897.5 289,750 3月
注:最低投資額は、22日終値で最低投資単位(100株)を買うのに必要な金額。権利確定月は、優待を得る権利が得られる月。年1回と2回がある。

 上記の8銘柄は、業績好調でも株価は比較的「割安」と言えるものを選びました。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)が低めで、配当利回りが高めの銘柄を選んでいます。

上記8銘柄の株価バリュエーション:8月22日時点

注:PERとPBRの単位は「倍」。配当利回りは、会社が予想する今期1株当たり配当金を8月22日の株価で割って算出、PERは8月22日の株価を会社が予想する今期1株当たり利益で割って算出。今期とはキリンは2018年12月期、ビックカメラは2018年8月期、Jフロント、ドトール日レス、イオンモールは2019年2月期、ユニゾ、トリドール、KDDIは2019年3月期のこと 。

8銘柄の今期業績予想

 以下に、8銘柄の今期業績(会社予想)とコメントを掲載します。IFRS・米国基準採用企業は、連結税前利益を経常利益とみなしています。

【1】 キリンHD
 

出所:同社決算短信

 キリンは、経常利益(連結税前利益)がわずかに最高益を更新予想となっているものの、営業利益・純利益は減益予想。今期は、国内の飲料・酒類・医薬品とも伸び悩み。ただし、早くから進出した海外(豪州・アジア)で安定的に稼ぐ力がある。ミャンマーで製造ライン増設。今後、アジアで収益拡大を目指す。

【2】 ビックカメラ

出所:同社決算短信

 家電量販店の勝ち組。都心部中心の出店で、インバウンド(訪日外国人)消費拡大の恩恵を受ける。白モノ家電好調に加え雑貨を充実し、集客力アップ。Eコマース拡大も寄与。

【3】J.フロント リテイリング

出所:同社決算短信

 大丸・松坂屋が経営統合してできた会社。経常利益(連結税前利益)が最高益更新の予想。関西の店舗でインバウンド消費拡大の恩恵が大きい。旧松坂屋銀座店を再開発して開業した銀座シックスで、賃料収入が伸びる。

 百貨店は、専門店やコンビニに売上を奪われて衰退していく業態であるが、Jフロントは、百貨店として生き残っていくビジネスモデルを確立しつつあると考えている。

【4】ドトール・日レスHD

出所:同社決算短信

 成長性は高くはないが、小幅に最高益更新の予想。収益の柱であるドトールコーヒーは安定収益原。客単価の高い「星乃珈琲店」出店が増益に寄与。

【5】 ユニゾHD

出所:同社決算短信

 オフィスビル賃貸と、ビジネスホテルの経営で稼ぐ不動産会社。足元、不動産市況の上昇とホテルブームの恩恵で、最高益更新が続く。ただし、株価は最近下落が続き、株価指標で見て非常に割安に。公募および第三者割当増資で117億円調達し、ここからさらにホテルやオフィスビルへの投資を拡大することが、不安視されている。今後、ホテルやオフィスビルの供給が増え、不動産ブームがピークアウトする懸念があるが、ここからホテルへ積極投資することが裏目に出るリスクには注意が必要。

【6】トリドールHD
 

出所:同社決算短信

 低価格のセルフ式うどん店「丸亀製麺」が中核。国内の出店が高水準。中国など海外でも拡大。

【7】イオンモール

出所:同社決算短信

 イオングループの不動産子会社。イオンショッピングセンターでテナント収入を稼ぐ。今期は、モール新店が国内4、海外3。懸案だった海外が黒字化。今後は、海外が利益成長に寄与すると期待。

【8】KDDI

出所:同社決算短信

 通信収入は減少するも、金融決済やEコマースなどのITサービスを伸ばし、最高益更新が続いている。

 

 

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