「売買注文の入れ方がわからない」という声を読者から、いただいています。今日は、「逆指値(ぎゃくさしね)売り注文」の使い方を、説明します。

 

まず、指値・成行注文をきちんと使いこなす

 株式を売買するときの注文の出し方で、まず覚えるべきは「指値(さしね)注文」、次は「成行(なりゆき)注文」です。この2つだけきちんと使いこなせれば、問題ありません。私は25年日本株ファンドマネージャーをやってきた経験がありますが、自分で出した売買注文の99%が、指値か成行でした。

 もし、「指値」「成行」注文の使い方がよくわからない方がいらっしゃいましたら、まず、以下のレポートをお読みください。

1月16日:「指値注文」「成行注文」をどう使い分けるべきか?
5月8日:いくらで買える?意外と知らない「指値注文」イマドキの使い方

 さて、次に、運用の達人になるために、覚えるべきが、「逆指値(ぎゃくさしね)」注文です。短期トレードをやる場合は、「逆指値の成行売り注文」をしっかり使いこなすことが、リスク管理上、大切です。

 

逆指値の成行売り注文を、しっかり使いこなす

 逆指値注文には、売り注文も、買い注文もあります。意味を説明すると、以下の通りです。

  • 「逆指値売り注文」:指定した価格まで、株価が下がった時、出される売り注文
  • 「逆指値買い注文」:指定した価格まで、株価が上がった時、出される買い注文

 逆指値の成行売り注文だけ覚えて、使っていただければOKです。逆指値買い注文は、信用取引で信用売りしたときなどに使うくらいで、通常の取引で使うことはほとんどありません。

 それでは、具体例で説明します。以下のように、指値売り注文と、逆指値の成行売り注文はセットで入れることができます。

株価1,000円でA社株を100株買った後、1,050円で100株の指値売りと、950円で100株の逆指値成行売りをセットで入れる

 A社株が、1,050円まで上昇し、あなたが入れた指値売り注文にヒットすれば、1,050円で利益確定売りが成立します。一方、A社株が下落し、950円をつけた時は、損失確定の成行売り注文が出されます。その時点で、950円に指値の買い注文が残っていれば、950円での損切りが成立します。950円の買いがなくなっている場合は、もっと下の値段で売ることになります。

 逆指値の成行売りをしておけば、きっちり損切りできます。株価をずっと見ていると、いろいろ迷って損切りできなくなる人も、損切りできるのがメリットです。

 勢いよく上昇している銘柄に短期勝負で投資する場合には、逆指値の売りを入れておくべきです。

 たとえば、以下のチャートのような銘柄です。

急騰するテーマ株(イメージ図)

出所:筆者作成

 

 私は、こんなに短期的に急騰した株は、買いたくありません。それでも、もし短期勝負で買うならば、失敗して下がったら早めに損切りを徹底します。ファンドマネージャーならば、日中の動きをしっかり見ていることもできますが、それができない個人投資家の方は、失敗したときに、損切りする水準を決めておいて、そこに、逆指値の成行売り注文を入れておくべきと思います。

 勢いよく上昇している株は、そのまま上がり続ける可能性もありますが、ピークアウトして下げ始めると、急落することもあるからです。こういう銘柄は失敗したときは、放っておかないで、早めに損切りすることが必要です。

運用の達人は、損切りの達人

 運用の達人になるには、損切りの達人になる必要があります。長期的にすぐれた運用パフォーマンスを出すには、大きく上がる銘柄を見つけることも大切ですが、それ以上に、暴落する銘柄をつかまないことが大切です。

 ただし、長い年月、いろいろな銘柄を売買していれば、暴落する銘柄を買ってしまうこともあります。そんなとき、すばやく損切りして傷口を深めないことが、運用の達人になるための必須条件です。

 運用資産を何倍にも拡大させたファンドマネージャーには、「どうやって株価10倍になる銘柄を見つけたか・・・」のような成功例を語る人が多いが、その影では、「いいと思って買った銘柄がダメ銘柄だったが、なんとか暴落する前に売り抜けた」話が、たくさんあるはずです。

 私のファンドマネージャー時代には、理由はわからなくても、だらだらと下げ続ける小型株は、サッサと売ることを徹底していました。

 

 

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